四番町神明社

熱田新田で最初に建てられた神明社

四番町神明社鳥居と拝殿

読み方 よんばんちょう-しんめい-しゃ
所在地 名古屋市熱田区四番2-5-6 地図
創建年 1651年(江戸時代前期)
社格等 村社・十二等級
祭神

天照皇大神(あまてらすすめおおかみ)
日本武尊(やまとたけるのみこと)
月読尊(つくよみのみこと)
須佐之男命(すさのおのみこと)

アクセス

・地下鉄名港線「六番町駅」から徒歩約8分
・駐車場 なし

webサイト  
オススメ度

 熱田区四番にあることから四番町神明社と呼ばれる。正式名は神明社だ。
 ここも熱田新田開拓にまつわる神社のひとつで、熱田新田に創建されたものの中では最古となる。
 熱田新田の開発は、尾張藩初代藩主・義直の命によって行われた藩の大事業で、正保3年(1646年)に始まり、3年後の慶安2年(1649年)に完成した。
 しかし、その開発が実質的に始まったは20年前にさかのぼる。ここは干拓によって作られた新田で、まずは海の水をせき止めるための堤防作りから始まった。それが寛永3年(1626年)のことだった。
『愛知縣神社名鑑』にも神社創建にまつわる話としてそのあたりのことを書いている。
「社伝に寛永3年(1626年)、熱田新田を開拓せんと水止堤防構築の鍬入式を行う。二十年苦行の後、慶安2年(1649年)完成する。尾張二代藩主光友喜び粟田春太夫をして慶安4年(1651年)9月11日、社殿を造営。牧田の守護神として祀る」
 新田の完成を喜んだのは二代藩主の光友だったとあるように、尾張藩も代替わりしていた。初代の義直が死去するのは1650年だから、新田完成は見届けたことになる。
 神社の創建年は新田完成から2年後の1651年としている。任に当たったのは粟田春太夫という人物だったようだ。
 神社の境内にある由緒書きは少し違っている。
 1626年の9月11日に、伊勢の神宮から大日孁貴神(おおひるめのむちのかみ/天照大神)、月読尊、日本武尊の三柱の神を勧請して奉る、としている。
 1626年は熱田新田の開発が始まった年だから、開発と同時に神社も建てたのか、新田開発が完了してから建てたのか、どちらかということになる。おそらく、『愛知縣神社名鑑』の1651年創建が正しいのではないかと思う。境内の由緒書きはけっこう間違っていることがある。

 それにしても、新田の守り神として、どうしてツクヨミとヤマトタケルも呼んだのだろう。そもそも、ツクヨミはともかく、伊勢の神宮からヤマトタケルを勧請するというのは筋違いではないのか。どういう事情でこの三柱の神が祀られることになったのか、詳しいいきさつは分からない。
『愛知縣神社名鑑』ではスサノオも祭神に加えられている。境内社の戸部社の祭神がスサノオとなっているようだけど、これのことなのか違うのか。

 藩主の光友が創建に関わっているということで、江戸期を通じて尾張藩から大事にされたようだ。文化8年(1811年)、天保10年(1839年)、嘉永7年(1853年)にそれぞれ修造した記録が残っている。
 明治に入っても、明治9年、22年、45年、大正10年、昭和9年に社殿を改修している。
 昭和34年の伊勢湾台風で社殿はすべてが倒壊したという。現在の社殿は昭和37年に再建されたものだ。

 境内社というより独立した格好で竜神社が隣接している。中ではつながっているものの、竜神社の鳥居があって、入り口は別になっている。
 祭神は綿津見神(ワタツミ)としている。
 ワタツミは海の龍宮に棲む竜神ともされており、八大竜王ともいわれる。
 神明社よりも後から創建されたか、別の場所から移されたかしたのだろうけど、場所柄を考えると竜神を祀る神社はこの地にふさわしい。なにしろここはもともと海だった場所だ。いわば竜神の住みかを多少なりとも奪ったということで、竜神を鎮めるための神社はなくてはならない。
 アマテラスに五穀豊穣を願い、ワタツミの怒りを鎮めてこそ、この地は人にとって恵みをもたす土地となる。
 伊勢の二見浦にある二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)の境内社・竜宮社でも綿津見神を祀っている。

 ところで竜と龍は同じといえば同じだし、違うといえば違う。
 一般的に龍というと西洋のドラゴンのイメージで、竜は中国伝来の東洋的な伝説の生きものというイメージとされることが多い。
 少しややこしいのは、龍は竜の旧字体とされながら、竜の方が字としては古いということだ。竜は常用漢字で、龍は常用外漢字なので、龍の方がもともとの正式な文字と思っている人もけっこういるかもしれない。
 竜神と龍神も別物といえば別物なわけで、明確に区別することは少ないのだけど、区別した方がいい場合もある。
 日本では中国から入ってきた竜のイメージを発展させて、日本独自の竜神信仰へと昇華させた。
 古くからあった蛇信仰などとも習合しつつ、水の神として雨乞いの祈りを竜神に捧げることも多い。

 アマテラスと竜神とではそれぞれ役割が違って、補完し合う関係ともいえるから、この組み合わせはいいんじゃないかとあらためて思った。
 実際、この神社もいい具合に鎮まっているように感じられた。

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

熱田の四番町神明社はちょっとユニークな神明社

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