白龍神社（白龍町）

田光池の主を鎮める

　白龍神社がある場所は、江戸時代は井戸田村だったところで、ここから北西の大喜村に田光池があった。大喜村の南西で、井戸田村との村境にあり、ふたつの村が共同で管理・使用していた灌漑用の雨池だった。
　今昔マップの明治から戦前にかけての地図を見ると場所が分かる。けっこう大きな溜め池だ。
　古い絵図では「たこ池」と書かれていることもあり、蛸ヶ池とも呼ばれたようだ。
　田光は奈良、平安時代の荘園、田光荘から来ているとされる。
　その田光池とこの神社は深い関わりがある。

　昭和12年（1937年）に田光池は埋め立てられることになった。同時に近くにあった天神山も崩されることになり、工事が始まると様々な事故が起き、これは田光池の主が怒っているに違いないということになり、白龍大王として祀ることになったのが白龍神社だ。
　田光池のほとりには大きな穴が空いており、そこには大蛇が棲んでいると人々は噂していたという。
　白龍神社が建てられたのはその大穴の近くだった。
　一説では灌漑池が大雨でたびたび氾濫したため、池に棲む龍神を鎮めるために社を建てたともいう。江戸時代にも祠くらいはあったかもしれない。

　田光池を埋め立てる際に、縄文・弥生時代の住居跡や土器のかけらなどが見つかっており、田光遺跡と呼ばれている。
　瑞穂台地の南端ということで、海が近くて湧き水もあったため人が暮らすには適した土地だったのだろう。
　近くから大曲輪貝塚（おおぐるわかいづか）や欠上貝塚（かけがみかいづか）などが見つかっている。

　境内には尾白稲荷の社もある。
　大きな木の切り株があるから、かつては境内に大きな木があったのだろう。
　神社がある白龍町の地名は、この神社が由来となっている。
　訪れる人は多くない神社だろうけど、土地の記憶を伝える役割としても大事な神社なので、これからも守り伝えていってほしいと思う。

作成日　2017.9.19（最終更新日　2019.3.28）

ブログ記事（現身日和【うつせみびより】）

田光池はもはやなく白龍神社が建った

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