東谷山(とうごくさん)の南の麓に変わった神社がある。見るからにちょっと怪しい。少なくとも普通の神社ではない。 ただ、境内や社殿の感じは整っていて悪くない。空気が淀んでいるわけでもなく、清らかな感じさえする。
ここは天祖光教(てんそこうきょう)という新宗教の施設のようだ。 戦時中の昭和17年(1942年)に清水真照(本名・清水信一)が守山区志段味の地に聖地・天母里(てんぼり)を築いて立教した。 清水信一は1910年(明治43年)に石川県江沼郡大聖寺で生まれた。 14歳のときに福井県の九頭竜川に注ぐ竹田川上流の釜ヶ淵で友だちと泳いでいるとき突然神隠しにあい、気づいたら京都の鞍馬山にいた。幼い頃から不思議な力を発揮していたという。 30歳までに国内を始め韓国、満州を巡り、天地創造の神・天祖から啓示を受けて守山区の志段味を聖地と定めて天祖光教を開いた。 志段味という土地は確かに聖地とも呼べる重要な地であることは間違いない。名古屋で一番高い東谷山(198m)の山頂には4世紀前半の古墳があり、その上に尾張戸神社が鎮座している。志段味一帯は100基を超える古墳密集地帯となっている。 天祖光教の本部は今も志段味にある。東谷奇玉宮から見て1.5キロほど西北の上志段味前山というところだ(地図)。 最盛期は信者が5万人いたというからそれなりに勢力があった宗教団体だったようだ。現在は代替わりして信者を1万人まで減らしている。 教会は神奈川、福井、石川、富山、大阪、和歌山あたりまで広がっている。
東谷奇玉宮が天祖光教にとってどんな施設なのかはよく分からない。教祖の清水真照を祀っているのだろうか。 清水真照は1969年に58歳で没している。 他にも幸福の鈴塔、聖無原罪処、水晶宮小戸之真名水といった施設があるそうなのだけど、名前だけではどんなものか想像はつかない。 東谷奇玉宮入り口の鳥居が変わっていて、笠木の上に千木をかたどったような木組みが乗っていて、六芒星(ろくぼうせい)がある。 六芒星はユダヤの聖なる図とされるもので、イスラエルの国旗にも描かれている。 よく似た図形で日本には籠目(かごめ)というものがある。竹編みの籠を図案化したものとされ、魔除けとしてこの図形が使われることもあった。 ちなみに、ケチャップでおなじみのカゴメは五芒星を商標登録しようとして認められなかったので六芒星にしてそこからカゴメ(籠目)の社名になった。 かごめかごめの歌とイスラエルの関係を指摘する説もある。
どの新宗教も難しい問題として直面するのが資金集めと代替わりだろう。 どこの教祖も力はあったのだろうし、教えを広めるという純粋な思いに嘘はなかったのだろうけど、信者が増えて組織が大きくなれば金銭的な部分でもきれい事だけでは済まなくなるし、代替わりすれば当然求心力は失われる。それでも存続させていこうとすれば無理が出る。 ただ、新宗教ということで最初から色眼鏡で見て拒絶してしまうのも違うような気がしている。その教えに学ぶべきものがあれば学べばいい。 今後も新宗教関連の神社を参拝したらこのサイトに登録していくつもりでいる。
作成日 2018.1.27(最終更新日 2019.1.22)
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