日吉神社(上社)

上社の歴史がぎゅっと凝縮している

上社日吉神社

読み方 ひよし-じんじゃ(かみやしろ)
所在地 名古屋市名東区上社2丁目45-1 地図
創建年 不明
社格等 村社・六等級
祭神 大山咋神(おおやまくいのかみ)
大己貴神(おおなむちのかみ)
罔象女神(みつはのめのかみ)
アクセス

・地下鉄東山線「上社駅」から徒歩約5分
・駐車場 あり(東側車止め前スペース)

webサイト 公式サイト
オススメ度

 名古屋市内に日吉神社はたぶん2社しかない。ひとつは中川区吉津の日吉神社で、もうひとつがここ名東区上社の日吉神社だ。
 もともとは神仏習合が色濃い山王権現を祀っていた。山王権現と比叡山、天台宗などの関係と歴史については吉津の日吉神社のページに書いた。
 日吉神社の総本社は、滋賀県大津市坂本にある日吉大社(web)だ。

 上社の日吉神社の創建についてははっきりしていない。
『愛知縣神社名鑑』には「社蔵の棟札に文明三年(1471)八月山王権現壱宇建立とあり、元禄七年(1694)五月上社村覚書に氏神山王権現の森、村の北西に当り道のり三町、森ノ広さ東西四十間、南北十二間と記るす」とある。
 1471年に建立されたと棟札にあるというから、少なくとも創建は室町時代までさかのぼることができる。1471年といえば応仁の乱(1467-1477年)の真っ最中の頃だ。
 ただ、これが創建を意味するのか再建を意味するのかは分からない。壱宇(一宇)というのはひとつの建物という意味で、どちらかというと神社よりも寺のお堂といったイメージだ。もともと小さな祠に祀っていてあらたに社(堂)を建てたということかもしれない。

 江戸期の書の上社村の項を見るとそれぞれこうなっている。

『寛文村々覚書』 (1670年成立)
「社 三ヶ所 内 山王 明神 山之神 社内壱反壱畝歩 前々除 新居村 祢宜 与太夫持分」

『尾張徇行記』(1792-1822年)
「社三ヶ所、覚書ニ、此内山王・明神・山神社内一反一畝前々除、新居村祢宜与太夫持分 新居村祠官谷口仁太夫書上ニ、山王社内一反六畝、貴船大明神社内一反二畝、山神社内三畝何レモ前々除」

『尾張志』(1844年成立)
「山王社
 貴布禰ノ社
 山神ノ社」

 江戸時代を通じて上社村に山王社、貴船社、山神社があったことが分かる。
 前々除となっているから1608年に行われた備前検地のときには3社ともすでにあったということだ。
『愛知縣神社名鑑』に「明治42年2月25日字八郎八十四番地の無格社貴船社を本社に合祀」とあるように貴船社は日吉神社に合祀された。
 山神社は現在境内末社となっている大山祇社がそれではないかと思う。明治11年にここに移されたようだ。
 同じく境内社の金刀比羅社は文化10年(1813年)に勧請されたとのことだ。
 境内の一角に御嶽ワールドがあるのだけど、それは慶応元年(1865年)に上社村の御嶽信者が勧請したものという。
 その他、境外末社として津島社(もとの天王社)が上社3丁目にあるようだ。
 二十三夜の月待塔碑や鍬を納めた鍬神社もあり、この神社が上社村の中心で、神道と仏教と修験と民間信仰などが渾然一体となっていたことがうかがえる。

 日吉というと秀吉を思い浮かべる人も少なくないと思う。秀吉は幼名を日吉丸といった。故郷の中村で母親のなかが日吉権現に日参して男子を授かることを願ってそれが叶ったため日吉丸と名付けたとされる。そこは現在日之宮神社となっている。
 秀吉の猿というあだ名は日吉権現(山王権現)からきていたかもしれない。山王権現の神の使いは猿だからだ。
 信長の比叡山焼き討ちで焼失した日吉大社を再建したのは秀吉だった。
 そいった縁を考えると、名古屋にももっと山王権現があってもよさそうなのにどうしてこんなに少ないのだろう。かつてはもっとたくさんあったものがなくなってしまっただけだろうか。明治の神仏分離令のとき廃社になったところもあったのだろうけど。

 日吉神社というと山王鳥居がシンボルとなっている。笠木の上に三角形の破風飾りがついたものだ。吉津の日吉神社も山王鳥居になっている。
 上社の日吉神社は入り口が明神鳥居で二の鳥居は朱塗りの両部鳥居になっている。厳島神社(web)の鳥居として有名なあれだ。
 両部鳥居の両部は密教の金胎両部(金剛・胎蔵)のことで、神仏習合の名残ともいえるのだけど、あえて日吉社で両部鳥居を採用したのは何か意味があったのだろうか。
 両部鳥居を採用している神社としては、氣比神宮(web)、廣瀬大社(web)、龍田大社(web)、熊野速玉大社(web)などがある。

 上社の歴史をぎゅっと凝縮したようなところで、名東区を代表する神社だと思う。

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

上社の日吉神社は名東区を代表する神社だと思う

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