熱田神宮(web)の西から南、南から東にかけて、ぐるりと囲むように秋葉社が祀られている。このあたり一帯で秋葉社が流行ったのだろう。熱田区以外にも秋葉社は多く点在しているのだけど、熱田神宮周辺は特にその密度が濃い。昔はもっとたくさんあったそうだ。 私が把握しているところだけでも10社くらいあるし、屋根神様や道ばたの小さなものもあわせるとそれ以上だろう。 江戸時代に火除けの神として秋葉権現を祀ることを尾張藩が奨励したという話があるけど、それだけではこの地区に密集してる理由の説明にはならない。 もうひとつは秋葉山園通寺(web)の存在がある。ここは古くから秋葉の道場として知られる寺だった。 残念ながら熱田は空襲でひどくやられてしまうのだけど、秋葉社がなければもっと大きな被害を受けることになったかもしれない。 秋葉さんがいるから大丈夫だという根拠のない信心が心を強く持たせたとしたら、それだけでも効果があったといえる。
白鳥2丁目にある秋葉社に関しては、情報がまったくないため何も分からない。 現地を訪れても秋葉社の社名はなく、地図に秋葉神社とあるから秋葉社ということが分かるだけだ。 隣は民家かと思ったら集会所のようで、自宅神社というわけではなさそうだ。扉も閉ざされていない。 神社はお世話をする人がいなければ成り立たないというだけでなく、参拝する人間がいなければ機能しないともいえる。 地域を火から守る役割の秋葉社を無関係の人間が訪ねていって参拝しても意味がないのではないかと思うかもしれないけど、必ずしもそうではないと私は思う。参拝者が神社を神社たらしめているとするならば、神社にとって参拝者の存在はなくてはならいもので、願い事をするわけでもなく、そこの神様に挨拶がてら参拝することだけでも役に立つのではないだろうか。 神社はまず人が神社として認識しなければ存在しないのも同じという言い方もできるだろう。 だから、何も分からない神社も、参拝したところはこのサイトに登録したい。 ときどき、道を間違えたりして予定外の神社を見つけることがある。そんなときは、呼ばれたな、と思う。神社もきっと、ひとりでも多くの人間に参拝してほしいと思っているのだ。
作成日 2017.8.25(最終更新日 2019.9.9)
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