天満宮(新家)

天満宮らしくなくても天満宮といえば天満宮

新家天満宮

読み方 てんまん-ぐう(にいえ)
所在地 名古屋市中川区富田町大字新家字東囲406 地図
創建年 不明
社格等 村社・十四等級
祭神

菅原道真(すがわらのみちざね)

 

・JR関西本線「春田駅」から徒歩約45分
・駐車場 なし

webサイト  
オススメ度

 中川区の北西の端っこ、新家にある天満宮。
 菅原道真を祀るとしているけど、万場の天神社同様、その実態はよく分からない。
 新家は「にいえ」と読む。
 江戸時代は「新家村」で、「にいや-むら」だった。
 この神社を知るための手がかりはほとんどないのだけど、まずは地名問題と新屋天神について見ておきたい。

 津田正生『尾張国地名考』にこうある。
「新家村 にいや-むら
 同郡甚目寺村の西に新屋村あり同名のごとし
【正生考】此むら正字新江の誤なるべし 応仁以来仮字をあやまること多し
【或人云】此村の宮を天神といへば若くは本国帳の内か
【正生考】此むらの辺は鎌倉の頃は新治(にひばり)の地なるべし」
 整理するとこうだ。
 この辺りの土地は鎌倉時代に開拓された土地だろうと津田正生はいう。治(はり)は開墾するという意味なので、新に開墾した土地ということで新治と呼ばれていて、のちに新江、新家となっていったというのだ(別の説は後述)。
 応仁以来というのは、1467年から1477年の応仁の乱以降、戦国時代ということだ。
 それから、甚目寺村に同じ名前の村があるという。
 更に、『尾張国内神名帳』(平安時代末)に載っている新屋天神は、この新家の天神社のことかもしれないと言う人がいるということを紹介している。
 このあたりから話がちょっとややこしくなるけど、先を続けたい。

 甚目寺村の西にある村は、江戸時代には新居屋村(にいや-むら)と表記していた。
『尾張国地名考』では、「地名新屋と書を本義とす」として、新居屋とするのは、同じ郡の中に新家村があって紛らわしいので三文字で表記していると説明する。
『尾張国内神名帳』にある「海部郡従三位新屋天神」については、【松平君山曰】としてこう書いている。
「薬王山法性寺(真言宗)の境内にあり 戦国に地を失ひたるものか」
 今も甚目寺の隣には新居屋の地名が残っていて、法性寺も現存し、新屋神社が隣接している(地図)。
 その新屋神社は『国内神名帳』の新屋天神を自認し、古い時代に新家連が大和国から移住して祖神を祀ったことが始まりとしている。
 物部氏との関係をいいつつ、現在は天穂日命(アメノホヒ)を祭神とする。

『寛文村々覚書』(1655-1658年)にこうある。
「新家村 天神」
「新居屋村 大明神」
『尾張志』(江戸時代後期)ではこうなっている。
「天神ノ社 新家村にあり」
「新屋ノ社 江上荘新屋村にいませり」
 これだけではどういう神を祀るどういう神社だったかは分からない。ただ、新居屋村はもちろん、新家村の天神も菅原道真を祀る天満宮とは思えない。

 「新家」と「新屋」は単なる表記の違いというだけのことなのか。
 新居屋の本来の表記が「新屋」だとして、『国内神名帳』にあるのは「新屋」天神だから、現・新屋神社がそれとすることに無理はない。
 ただ、新屋神社の由緒書きに出てくるのは「新家」連(むらじ)だ。
 物部氏の分流に新家首(にいのびのおびと)の一族がいて、その流れを汲むのが新家連(にいのみのむらじ)だ。
 新家というのは、新たに設けた屯倉(みやけ)の意味で、ヤマト王権の直轄地のことをいう。
 屯倉は大化の改新(645年)で廃止されたのだけど、尾張国では尾張国の間敷屯倉(ましき/中島郡平和町三宅)と入鹿屯倉(いるか/犬山市入鹿)が知られている。
 新家村の地名が新家氏から来ているとする説をとなえている人がいるのかどうかは知らない。まったく無関係かもしれないし、少しはかすっているかもしれない。

『愛知縣神社名鑑』にはこうある。
「昭和54年、天神社を天満社と改称した」
 これだけではいつから菅原道真を祀るようになったのかは分からない。とりあえず、拝殿前に牛はいる。天満宮らしさといったらそれくらいのものだ。

 さすがにこの神社を『国内神名帳』 にある新屋天神とするのは無理があるだろうか。
 ただ、新家の地名が新家連と関係があるとすれば、古社の可能性もなくはないのか。
 あとは古代において海抜ゼロメートル地帯のこの辺りがどういう土地だったかということだけど、海の底か低湿地帯で人が暮らすような場所ではなかっただろうと考えると、古社である可能性はほぼないと考えた方がいいかもしれない。
 とりあえずはっきりしていることは、現在は天満宮で菅原道真を祭神としているということだ。それならそれで全然問題はない。

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

新家天満宮は天満宮らしくないけど天満宮

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