水神社は「すい-じんじゃ」と読むのか「みず-じんじゃ」と読むのか。「みずがみ-しゃ」と読むのか。読み方だけでなく、情報が何もないので詳細は不明。 名前からして水に関係する神社だろう。ただ、水神-社なのか、水-神社なのかによってもニュアンスが違ってくる。 今昔マップの明治中頃(1888-1898年)を見ると、神社がある場所は日比津村集落の西端だったことが分かる。 西を流れている細い川は庄内用水ではないかと思う。この社はその用水の脇に祀られていることからすると、用水の神だったかもしれない。 現在、用水の流路は道路になっているから埋められたか暗きょ化されたのだろう。
水神というと思い浮かぶのは罔象女神(ミツハノメ)だ。 『古事記』ではカグツチを生んで陰部に火傷をして苦しんでいるイザナミの尿から生まれたとし(弥都波能売神)、『日本書紀』の一書ではイザナミが死ぬ間際に生まれたとしている。 「ミツハ」の由来は諸説あってはっきりしないのだけど、「罔象」の字を当てていることから龍の姿をした水の精霊のこととする説がある。 映画『君の名は。』の主人公、三葉(みつは)はミツハノメから来ていると新海誠監督も認めている。もうひとりの主人公の瀧が、滝であり龍であることや、三葉の実家が宮水神社であることも、あの映画の重要なモチーフとなっている。 ミツハノメを主祭神として祀る神社は名古屋には少ないので、ここがそうだとしたらちょっと嬉しい。
日比津の地名は、土津(ヒヂツ)から来ているとされる。 土は正確には点のある圡で、水気のある土=泥のことをいう。泥江と書いて「ひじえ」と読ませるところもある(泥江縣神社を参照)。 津(ツ)は船着き場や湊を表す言葉で、すぐ北を庄内川が流れていることから、近くに舟の渡し場があったかもしれない。地名がついた頃は、このあたりは湿地帯だっただろうか。 日々津村の中心的な神社は、古くは土江神社(ひじえじんじゃ)で、江戸時代は白山社だった。 日々津村の天神社は『尾張国内神名帳』にある従三位土江天神ではないかとされている。
水神社やそれに当たるような神社は、江戸期の書には載っていない。小さな祠程度のものだったのか、創建が明治以降という可能性もあるのか。 今は公園の一角にあり、もともとこの場所にあったかどうかは何とも言えない。庄内川の堤防近くにあったものを公園ができたときに移したのかもしれない。 中央の社が大きめで、左右に小さな社がある。そちらも詳細は不明だ。
作成日 2017.11.8(最終更新日 2019.5.6)
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