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籠山神社

神社側の説明にしっくりこない感じ

籠山神社

読み方 かごやま-じんじゃ
所在地 名古屋市緑区篭山1丁目907 地図
創建年 不明(江戸時代中期または後期)
旧社格・等級等 十五等級
祭神 大山祇神(おおやまつみのかみ)
アクセス 地下鉄桜通線「徳重駅」から徒歩約40分
篭山バス停」から徒歩約6分
駐車場 なし
その他 例祭 3月7日
オススメ度

『愛知縣神社名鑑』では籠山神社となっているのに対して、神社の社号標や地図上の表記は篭山神社となっている。このあたりの町名も篭山(かごやま)だ。
 神社本庁への登録は籠山神社だったのを簡略化して篭山神社としたのが定着したのかもしれない。
 町名としては新しく、以前は鍋山といっていた。神社の西の鍋山公園などに名残がある。
 鍋山が先か、篭山が先だったのかはよく分からない。
 篭山は片側が断崖になっている欠山(かけやま/かこやま)から転じたとされるも、「カケ」が「カゴ」になるかと考えると疑問だ。「カゴヤマ」という地名が古くからあったのかもしれない。カゴヤマといえば、天語山(アマノカゴヤマ)を連想する。このあたりは古い遺跡が見つかっている場所で、尾張氏とのゆかりもある土地だ。
 ちなみに、奈良県吉野郡天川村には籠山(こもりやま)という地名がある他、京都府宮津市大垣にある丹後国一宮の籠神社は「この-じんじゃ」と読ませる(web)。

『愛知縣神社名鑑』はこの神社についてこう書いている。
「創立年月日不詳であるが江戸時代中期鳴海相原村より新田開発と同時に住民移住して籠山部落を造り相原村名主所有の山林に山神社と称して石神を祠り産土神として今日に相伝、部落民の尊崇する社である。昭和51年7月、公許」

 鳴海村の相原郷の人たちが新田開発をしたというのはおそらく平手新田のことで、1653年(承応二年)に検地が行われて平手新田村として独立した。平手新田の氏神は国常立尊と天照大神を祀る神明社で、それは集落の西の田んぼの中にあった。
 神明社から見て籠山神社は400メートルほど西北に位置する。平手新田の集落からはだいぶ離れていて、このあたりに別の集落があったかというと少し疑問だ。
 神社は丘陵地帯に少し入ったところで、山神を祀るには向いている場所ではある。これを祀ったのは平手新田の集落の人たちだったのか、それとは別の相原村の住人だったのか。
 石神を祀るというから、文字通り石を祀っていたのだろう。明治の近代社格制度において無格社ですらなく、昭和51年(1976年)に公許となったというから、そのとき神社としての体裁が整えられたと考えられる。
 境内の由緒によると、昭和55年(1980年)に土地の寄進をうけて現在のように境内と社殿が完成したとある。宗教法人化して籠山神社としたのもこのときのようだ。その頃にこのあたりの開発が進んで家が建ち、住人が増えたと考えられる。

 今昔マップで明治中期以降の変遷を辿ってみると、長らく篭山神社を示す鳥居マークは描かれない。
 丘陵地帯の南に田んぼが広がり、西には二つの溜め池があったことが分かる。この溜め池は今はもうない。
 大正から昭和、戦後まであまり変化はない。
 ようやく家が建ち始めるのが1960年頃からで、その後道路が整備され、道沿いに家が建ち、丘陵地も少しずつ開発されていった。
 1990年代に入ると一気に宅地化が進み、住宅が激増した。
 鳥居マークが初めて描かれるのは1992-1996年の地図だ。1980年には神社は今のような姿になっているはずなのだけど。

 もともと山神なので大山祇命(オオヤマツミ)を祀っている。
 社は覆殿のような建物に納められていて、熱田と秋葉も祀られているとのことだ。
 参道脇には石造の社があって、辨財天を祀っている。
『愛知縣神社名鑑』は例祭日を3月7日としているけど、今でもこの日を守っているかどうかは確認が取れていない。

 籠山神社という名前から京都丹後の籠神社との関係を期待したら肩すかしを食った。まったく関係がなかった。
 籠神社は謎が多くて魅力的な神社なので一度は訪れてみたいところのひとつだ。元伊勢の一社で、神宮外宮の豊受大神との関わりも指摘されている。
 古くから社家を務めるのが尾張氏の同族とされる海部氏で、海部氏系図は国宝指定されている(系図の内容には問題が多いとされる)。

 以上がこの神社についての調査結果をまとめたものなのだけど、個人的になんとなくしっくりこないものを感じる。具体的には分からないものの、何かが違っているような気がする。
 神社を参拝しながら感じた違和感の正体もよく分からない。
 未解明、未解決のもやもや感が残る。

 

作成日 2018.11.20(最終更新日 2019.4.10)

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山神らしさを感じなかった篭山の籠山神社

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