神明社白山社合殿(枇杷島)

1529年の枇杷島村に何があったのか

枇杷島神明社

読み方 しんめい-しゃ・はくさん-しゃ・あいどの(びわじま)
所在地 名古屋市西区枇杷島4丁目20-22 地図
創建年 不明(1529年?)
旧社格・等級等 無格社・十五等級
祭神 天照皇大神(あまてらすすめおおかみ)
菊理姫命(くくりひめのみこと)
アクセス 名鉄名古屋本線「東枇杷島駅」から徒歩約13分
駐車場 なし
webサイト  
オススメ度

 枇杷島村にあった八幡社、神明社、白山社のうちの神明社と白山社をあわせたものだと思う。
『尾張志』(1844年)は「八幡社 神明社 白山社 枇杷島村にありみな享禄二己丑の創建也」と書いている。
 享禄2年は戦国時代中期の1529年で、織田信長が1534年生まれだから、その頃のことだ。

 それに対して『愛知縣神社名鑑』はこんなことを書いている。
「明和四年(1767)7月、庄内川氾濫し溺死者二千人という災害あり、藩主宗睦堤防の強化をはかる、住民神社を建て祈念す。安永八年(1779)8月、再度被災ありしが軽症ですむ。崇敬者次第に増し、明治初年東枇杷島町八幡社の氏子打揃い崇敬者となり社殿を改築し夏病除けの神として夏祭を盛大に行う。明治6年、据置公許となる」

 これを読むと、江戸時代中期の1767年に庄内川が氾濫して大きな被害を出したため、住人が神社を建てたということのように思える。しかし、『尾張志』にある神明社と白山社が現在の神明社白山社合殿のことだとすると、これはおかしな話だ。1672年頃完成した『寛文村々覚書』にも神明社と白山社はすでに載っている。その内容はこうだ。
「枇杷島村 社三ヶ所 内 八幡 神明 白山 当村祢宜 筑後持分 社内五畝五歩 前々除」
『尾張徇行記』(1822年)も同じような内容になっている。
「八幡祠神明祠白山祠界内五畝五歩前々除、府志曰、三祠倶在枇杷島村、後奈良院永享二巳丑年建之 社司神部式部」
 三社とも享禄2年(1529年)創建ということで見解が一致している。
 この1529年に枇杷島村で三社を一度に建てたのにはどんな理由があったのだろう。いろいろ調べたり考えたりしたのだけど、思い当たることはなかった。
 戦国時代だから周辺で戦などもあったのだろうけど、稲生の戦いなどは1556年だからもっと後のことだ。周囲には城もなかったので戦国武将絡みでもないのか。

 今昔マップの明治21-31年を見ると、美濃路の北側、集落の北の外れあたりだ。もともとこの場所に神社があったかどうかは分からない。少なくとも江戸期は神明社と白山社はそれぞれ独立した神社で別々にあったと考えられる。
 どちらかは庄内川の堤防上か堤防下にあったかもしれない。
 すぐ西には庄内川の中州があり、そこは中島と呼ばれて人が暮らしていた。中島に架かる枇杷島橋は尾張国一の橋といわれる名所でもあった。
 中島の歴史などについては黒體龍王大神社のページに書いた。
 明治には役所や料亭などが建ち並んだ中島も、戦後に取り壊されて姿を消した。黒體龍王大神社もそのとき現在地に移されている。

 枇杷島には今でも梵天祭(ぼんてんさい)が伝わっている。名古屋で今も残っているのはここくらいかもしれない。
 梵天祭は秋田県の各地や栃木県宇都宮市などで行われている特殊神事として知られる。
 江戸時代中期に名古屋城下で流行したことがあり、枇杷島のものはその流れを受けたものではないかと思う。
 五穀豊穣や家内安全などを願って梵天を奉納する。長い竹竿の先に梵天の房を取り付けたものを担いでかけ声をかけながら練り歩き、最後は神社に奉納するというスタイルが多いようだ。
 ここでいう梵天は、竹の先に白紙を付けて垂らした御幣をいう。
 枇杷島では6月に行われており、神職が梵天付きの竹を持ち、八幡社を出発した後、町内の屋根神様で祝詞をあげて回り、神明社白山社合殿が終着点となっている。稚児行列もつくのが特徴となっている。
 仏教における梵天というと、仏教守護の天部のうちのひとつで、元を辿ると古代インドの神、ブラフマーに行きつく。古代インドでは根源神とされ、維持神のヴィシュヌ、破壊神のシヴァと共に三大神のひとつとされた。
 それが仏教に取り込まれ、主に帝釈天と一対で祀られている。

 1529年に村で八幡、神明、白山を一度に祀ったのが何故だったのかが引っかかりとして残った。『尾張志』や『張州府志』が間違っているという可能性もあるのだけど、わりと断定的に書いているから根拠があったのだろう。
 これは枇杷島村の成り立ちや歴史にもかかわることで、それは美濃路も関係してくる。
 江戸時代に入って名古屋城が築城される前のこの辺りはどんなふうだったのか。他の村や出来事などから見えてくるものもありそうだから、枇杷島村については今後も心に留め置くことにする。

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

庄内川堤防上にある枇杷島神明社白山社合殿

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