少彦名神社(丸の内)

薬関係者がスクナヒコナを祀る

少彦名神社(丸の内)

読み方 すくなひこな-じんじゃ(まるのうち)
所在地 名古屋市中区丸の内三丁目2番22号 地図
創建年 1916年(大正5年)
社格等 不明
祭神

少彦名命(すくなひこなのみこと)
大国主命(おおくにぬしのみこと)

 アクセス

・地下鉄名城線「市役所駅」から徒歩約11分
・駐車場 なし

webサイト  公式サイト
オススメ度

 中区丸の内に少彦名(スクナヒコナ)を祀る小さな神社がある。名古屋市内で薬関係の職業に就いている人にはよく知られている神社なのかもしれないけど、一般的な知名度は低い。というか、知っている人はごく少ないんじゃないかと思う。
 名城小学校のすぐ西、呉服町通りと京町通が交差する北西角にその神社はある。京町通に面した駐車場のその奥まったところにあるから、ちょっと見ただけでは見つけられないかもしれない。
 第二次大戦の空襲で焼けるまでは、南東ブロックの中区丸の内三丁目8番(地図)にあったという。
 神社が創建されたのは大正5年(1916年)と新しいものの、この町の歴史は1610年の名古屋城築城に伴う清洲越しに始まる。

 名古屋城下の中心を本町通と考えて暮らしている名古屋人はあまりいないだろうけど、名古屋城下の歴史を考える上では、本町通を中心として捉える必要がある。
 現在の外堀通りは文字通り名古屋城の外堀があったところで、外堀より北が三の丸で藩士の屋敷が集まっており、掘より南は碁盤の目状になった町人、商人が暮らす町だった。
 三の丸の正門というべき本町門から南の熱田に向かって真っ直ぐ伸びた通りが本町通で、ここが名古屋城下のメインストリートだった。この通り沿いに店を構えることが名古屋商人にとって最高のステータスとされた。
 町名こそなくなってしまったものの、通りの名前は現在でも当時のものがほぼそのまま残っているため、かつての町名を知る手がかりとなる。
 本町通から七間町筋までを両替町、七間町筋から伊勢町筋を京町、伊勢町筋から大津町筋を諸町と呼んでいた(明治になって合併して両替町となり、のちに京町と改称して戦後まで続く)。
 京町はもともと京都から呉服商たちが清洲城下に移り住んで作った町で、清洲越しで名古屋城下に引っ越してきてそのまま町名を引き継いだ。
 その京町が薬の一大問屋街になるのは1855年の安政の大火以降のことだ。
 薬商の井筒屋伊助宅の風呂場から火が出て、そのまま燃え広がって京町を焼き尽くしてしまった。
 そこへどういうわけか薬商たちが集まってきて、やがて大坂の道修町に匹敵するほどの薬問屋街が形成されることになる。
 明治から大正、昭和初期にかけてもそれは続き、昭和11年には薬屋関係が35軒以上、京町に集まっていたという。
 その中の一軒に中北薬品がある。江戸時代中期の1747年に京町で創業して成功を収めた薬商だ。
 大正5年に、その中北薬品を中心として薬関係の人たちによって薬の神とされるスクナヒコナを祀って建てたのが、この少彦名神社だった(宗教法人少彦名神社の代表は中北薬品の会長)。

 スクナヒコナは、オオクニヌシ(大国主命)が国造りをしているときに、海の彼方から天乃羅摩船(アメノカガミノフネ)に乗ってやってきて、国造りを手伝ったとされる神だ。
 天乃羅摩船はガガイモの実とされるくらいだから、とにかくちっちゃいというイメージが強い。
 その属性は幅広く、医薬、温泉、酒造り、まじないなどの神などとされ、各地の神社で祀られている。
 神仏習合では人々を病気から救う薬師如来と習合し、薬祖神(やくそしん)とされた。薬関係の人たちが祭神にスクナヒコナを選ぶのはそのためだ。
 茨城県にある大洗磯前神社酒列磯前神社からスクナヒコナとオオクニヌシを勧請して少彦名神社で祀った。
 しかしそれは空襲で焼けてしまったため、戦後の昭和23年(1948年)に場所を現在地に移して、大阪市の少彦名神社から勧請してあらためて祀った。
 昭和34年(1959年)の伊勢湾台風で壊れてしまったため建て直す。
 平成27年(2015年)には創建100年記念ということで鳥居と本殿を新築している。現代の名工に選ばれた高山の宮大工の手によるものだそうだ。

 薬関係の業界では神農祭や薬祖神祭などと呼ぶ大祭をそれぞれが信奉する神社で行っている。10月の健康週間(10月17日-23日)あたりで行われることが多いようだ。
 少彦名神社でも毎年10月16日に業界関係者が一堂に会して薬祖神大祭が執り行われる。
 薬研と鉄鉢で薬の原料を粉末にし、古式にのっとり神前で調薬して奉献するという神事を行っているとのことだ。
 おととし2015年は100周年でテレビの取材もあったというから、ローカルニュースなどでその様子を見たという人もいるかもしれない。
 もちろん、一般の人が見にいって参列してもかまわない。薬とはほとんど無縁の生活を送っている私としては、スクナヒコナさんに薬関係で何をお願いしていいかちょっと思いつかないのだけど。

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

薬関係者による薬関係者のための少彦名神社

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