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三喜神社

神道大教とは何かといえば

三喜神社(池下)

読み方 さんき-じんじゃ
所在地 名古屋市千種区池下1丁目5-11 地図
創建年 不明
旧社格・等級等 不明
祭神 不明
アクセス 地下鉄東山線「池下駅」から徒歩約2分
駐車場 なし
webサイト 神道大教webサイト
その他  
オススメ度

 地下鉄「池下駅」の少し西にある変わった神社。本殿がお寺の本堂のような姿をしているので戸惑う。ここは本当に神社だろうかと不審に思う人もいるだろうし、なにやら怪しげな新興宗教の施設と思って入れなかったという人もいるんじゃないだろうか。
 入り口の社号標に「神道大教 三喜神社」とある。それを見て、ああ、なるほど、神道大教か、となる人はたぶんあまりいない。教派神道の総本部のようなところ、といってもピンと来ないと思う。
 できるだけ分かりやすく説明したいのだけど、私自身よく理解してない部分もあるので上手く説明する自信はない。

 まず時代的な流れを追うと、1868年(慶応4年/明治元年)に、明治政府は神社と寺を分ける神仏判然令(神仏分離令)を出した。
 王政復古、祭政一致を掲げ、神道を国教とするための政策の一環だった。
 このとき、多くの寺は廃寺となり、仏像などは壊され、神社の祭神は神仏習合のものから日本神話の神に交代させられた。
 明治5年(1872年)、国家の宗教をとりまとめるための機関として大教院(だいきょういん)が設置された。尊皇愛国思想の教化や神職の養成、宗派のとりまとめなどを行うことを目的とするものだった。これが後に神道大教となった元の機関だ。
 しかし、明治8年(1875年)に大教院は解体を余儀なくされ、代わって神道事務局が創設された。
 それまでバラバラだった民間信仰を教派神道という形でまとめたのもこの機関だ。神道十三派(しんとうじゅうさんぱ)が誕生したのもこのときだった(神道大教、黒住教、神道修成派、神宮教、出雲大社教、扶桑教、實行教、神道大成教、神習教、御嶽教、神理教、禊教、金光教、天理教で、後に神宮教が離脱し、戦後に大本教が加盟)。
 つまりこれらの宗教団体は国家公認ということになった。
 解体した大教院は講学布教機関となり神道大教院と改称した。
 明治17年(1884年)に神道事務局は神道本局として改編された(分裂したというべきか)。
 少しややこしいのは、神道本局は教派神道のとりまとめをする機関であり、同時に教派神道の一派でもある点だ。正式名を神道といったのも混乱を招く要因だ。
 昭和15年(1940年)に宗教団体法が施行され、神道という教派名はよくないということになり、神道大教と改称した。
 現在の神社本庁は、神道事務局の中で神職を養成するために設置された皇典講究所が元になっている。國學院大学も皇典講究所を母体とする大学だ。
 戦後、GHQによって皇典講究所は解散させられ、神社本庁が設置され、財団法人國學院大學が設立された。
 ちなみに、神職過程があるもうひとつの大学である皇學館大学は、明治15年(1882年)に伊勢神宮祭主だった久邇宮朝彦親王の令旨によって設置された神宮皇學館を母体としており、昭和15年(1940年)に官立大学となった後、戦後にいったん廃校となったものを昭和37年(1962年)に再興した。

 説明不足の部分もありそうだけど、時代的な流れとしてはこんな感じだ。
 教派神道はいわゆる新興宗教とは区別されるべきもので、大教院は国家主導で作られた機関であり、教派だった。
 初代総裁には有栖川宮幟仁親王が就き、子爵だった稲葉正邦(旧・山城國淀城主)が初代管長を務めた。
 神道大教院では天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神を主祭神として祀っている。
 それに加えて、伊弉那岐命、伊弉那美命、天照大神、天神八百萬神、地祇八百萬神を祀るとする。要するにすべての神ということだ。
 総本社は東京の港区西麻布にあり、関連の教会や神社は全国に130社近くあるようだ。
 愛知県内は以下の通り。
 三喜神社、天之御祖神社、玉野御嶽神社、愛知御嶽永寿小教会、桃太郎神社、古見御嶽神社、吉川稲荷神社、天祖久方小教会、八幡天水宮、熱田開運講社、横須賀講社、蚕霊神社。
 桃太郎神社の他は知らない。表立って神社としているところばかりではなさそうで、名古屋市内にあるのは三喜神社だけかもしれない。

 三喜神社がいつここに建てられたのかは調べがつかなかった。神道大教として成立したのが昭和15年で、その後戦争が激しくなるから、おそらく戦後ではないかと思うけど確かなことはいえない。
 今昔マップでは1968-1973年の地図から鳥居マークが現れる。1950年代の地図がないのでなんともいえないけど、1950年代かもしれない。
 三喜神社の実態についてはよく分からない。ただ、神前結婚式が行われていたり、能楽太鼓の体験講習をやっていたりするようなので、対外向けの活動も行っているようだ。
 誰でも入っていって参拝してもいいと思う。お寺でもないし、新興宗教の施設でもないので大丈夫だ。

 

作成日 2017.5.30(最終更新日 2019.2.16)

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