植田八幡社

横地秀綱が植田城の守護神として創建した八幡社

植田八幡社太鼓橋と鳥居と拝殿

読み方 うえだ-はちまんしゃ
所在地 名古屋市天白区植田西3-605 地図
創建年 1471年頃(室町時代中期)
社格等  村社・八等級
祭神

應神天皇(おうじんてんのう)

アクセス

・地下鉄鶴舞線「植田駅」から徒歩約7分
・駐車場 不明

webサイト  
オススメ度 **

 天白区植田にある八幡社。植田八幡社とも、植田八幡宮ともいう。神社名石碑には八幡社とあり、拝殿の額は八幡宮となっている。愛知県神社庁の一覧には植田八幡宮とあるから、それが正式名かもしれない。
 室町時代中期の1470年頃、遠江の国衆(現在の静岡県菊川市)だった横地一族の横地秀綱がこの地にやってきて、植田城を築くとともに八幡社を創建したとされる。
 横地秀綱を遠江横地城主14代目とし、今川義忠(義元の祖父)によって城が攻め落とされたためこの地にやってきたとする説があるが、14代目は横地秀国で、横地城落城は1476年だから、その説は正しくないと思われる。
 秀綱と秀国がどういう関係にあったのかは不明ながら、秀綱がこの地にやってきたのは、室町幕府8代将軍・足利義政の命だったというから、秀綱が重要な人物、もしくは有能な人物だったということだろう。
 1470年といえば、1467年に始まった応仁の乱が京都から全国に飛び火して泥沼化している時代で、義政の後継者争いもその要因のひとつだった。
 植田城は現在の郷藪公園のあたりにあったと考えられている。植田八幡社から見て東南約200メートルほどの場所だ。
 植田城ならびに植田八幡社は、江戸時代に駿河街道(のちに飯田街道)と呼ばれることになる道沿いに建てられた。すぐ南を天白川が流れている。

 植田八幡社は、植田八幡社古墳と呼ばれる全長80メートルほどの前方後円墳の上にある。昭和49年(1974年)、神社が大改修を行ったときに大部分を削り取ってしまって原形をとどめていない。
 古墳時代中期というから500年代あたりだろうか。80メートルというと東海地方ではかなり大きな部類で、一説によると埋葬者は尾張針名根命(おはりはりなねむらじ)の可能性があるという。
 尾張氏の祖とされる天火明命(アメノホアカリ)の十四世孫で、タケイナダネ(建稲種命)の孫に当たる。同じ天白区にある式内社の針名神社や犬山市の式内社・針綱神社に祀られている重要人物だ。
 もしそれが本当だとすれば、いくら神社の敷地内のこととはいえ、そう簡単に壊していい古墳ではなかった。おそらく古くから何らかの神を祀る社があったはずだ。

 横地氏のルーツは、源八幡太郎義家の落し子、横地家永に始まるとされる(豪族・相良氏の娘との間にできた庶子)。
 鎌倉時代には幕府の御家人となり、室町時代には遠江の一部を支配する国衆となっていた。
 ちなみに、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の井伊家があったのは浜名湖の北、西遠江の井伊谷(いいのや)で、横地氏の横地城は東遠江の菊川なので直接対決はなかったと思われる。ただ、どちらも今川、武田、徳川といった大名家によって運命を左右されたという点では共通点している。
 源氏の流れを汲む横地氏が自分の城や領民の守護神として八幡神を祀ったのはごく自然なことだ。
 全久寺も秀綱によって1471年に建てられたと伝わっている(水害によりのちに植田山に移転)。
 戦国時代の1580年。信濃の小県郡(ちいさがたぐん)の国衆だった室賀正武が真田昌幸に殺され(NHK大河ドラマ「真田丸」で描かれた)、息子の久太夫(きゅうだゆう)はつてを頼って植田城にやってきた。
 その久太夫によって植田八幡社が修繕されたと『尾張志』(1844年)にある。
 久太夫のとりなしによって横地氏は徳川方につくことになり、貢献が認められ、江戸時代を通じて植田村は年貢を納めること以外の雑役(工事などに借り出されること)を免除された。
 それを感謝して、植田八幡社には初代城主の秀綱と横地権蔵(権蔵は代々城主が名乗った名前)が合祀されることになった。
 久太夫は出世して尾張藩士となり、横地家は郷士(下級武士資格の農民)となってこの地に土着したという。

 古墳の埋葬者が誰なのか、もともとの社では誰を祀っていたのか、尾張氏との関係はどうなのか、古墳時代から室町時代の間はどうなっていたのかなど、植田八幡社は解明すべき謎が多く残されている。
 社殿などはほとんどが戦後に建て替えられたもので見所はないものの、フォトジェニックで写真写りがいい神社だ(そんな表現があるとすれば)。
 カラリと乾いた空気感で明るく、古墳の上に乗っているとは思えない。現代の街並みとの段差が少ないというか、歴史を重ねながら現代という時代に上手く適応している神社という印象を受ける。

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

植田八幡社を訪れて植田の歴史に思いをはせる

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