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神明社(西福田5)


西福田新田の中心神社といえるか



西福田5神明社

読み方しんめい-しゃ(にしふくた5)
所在地名古屋市港区西福田5丁目2002 地図
創建年不明
旧社格・等級等指定村社・十四等級
祭神天照皇大御神(あまてらすすめおおみかみ)
アクセス近鉄名古屋線「戸田駅」から徒歩約38分
海東バス停留所」から徒歩約3分
駐車場 なし
その他例祭 10月8日
オススメ度

 西福田新田にあった神明社のひとつ。地域でいうと中央部やや東寄りになる。
 西福田新田は1643年(寛永20年)に八田村の豪農、鬼頭景義が干拓した土地で、実際に開発したのは尾張藩家老の志水甲斐守だった。
 1665年に志水甲斐守に給付され、自分で人足を雇って池や川だらけだった土地を埋め立てて農地にした。
 1684年に検地が行われ、東福田新田と西福田新田をあわせて福田新田村と呼ぶようになる。
 当初、西福田新田は海東分、戸田分、蟹江分に分かれていた。
 後に東之割、上中之割、下中之割、西之割、新屋敷などに分けられ、ここはそのうちの上中之割に当たることから上中之割神明社とも呼ばれている。
 村の集落は南の茶屋後新田との境界の堤防沿いに並んでいたのと福田川より東の道沿いに点在していた。神明社は集落の中にあった。
 そのあたりの様子は今昔マップ(1888-1898年)から見てとれる。



『愛知縣神社名鑑』はこの神社についてこう書いている。
「創建は明かではないが、享保初年(1718)海東分、戸田分に守護神として崇敬あつく、明治5年7月村社に列格する。大正4年社殿を大改修、境内百八十三坪を三百二十六坪に拡張し、同4年11月9日、供進指定社となる。昭和34年9月、伊勢湾台風により甚大な被害を受けた。昭和43年9月15日拝殿を建造、昭和46年10月玉垣を建築、翌47年9月、本殿を改築した」
 享保初年(1718年)の記録か何かに海東分、戸田分の氏神とあるということだろうか。もしくはそのときの棟札が残っているのか。
 いずれにしても、この年が創建年ではないだろう。西福田新田の歴史からすると創建はもっと早いはずだ。
 明治になって指定村社になっているくらいだから、西福田新田の中心神社だったと考えられる。



『尾張志』(1844年)には、「神明ノ社三社 山神ノ社 熱田大明神ノ社二所 六社共に福田新田村にあり」とある。
『尾張徇行記』(1822年)の西福田新田の項はこうなっている。
「須成村祠官寺西伊豆守書上帳ニ、西福田新田ノ内熱田大明神神明 勧請ノ初ハ寛永十九年也
 大明神二社 勧請ノ初ハ慶安四卯年也
 熱田大明神 勧請ノ初ハ同上(慶安四卯年)
 熱田大明神 勧請ノ初ハ同上(慶安四卯年)
 神明社 勧請ノ初ハ寛永十九年也」
 寛永19年(1642年)は西福田新田が開発された1643年(寛永20年)の前年だ。新田開発に先立って祀った可能性はある。
 境内の由緒には享和2年に志水甲斐守によって神明社は鎮座したというようなことが書かれているけど、これはちょっと信じられない。享和2年といえば1802年だから、それではさすがに遅すぎる。『愛知縣神社名鑑』が享保初年(1718年)云々と書いていることからすると、少なくとも享保2年(1719年)の間違いだろう(昭和48年(1973年)の由緒碑で今から250年前と書いていることからしても)。
 寛文19年(1642年)の創建なら鬼頭景義が関わっているはずで、享保元年(1718年)もしくは享保2年(1719年)であれば志水甲斐守が創建したということになりそうだ。



 あらためて今昔マップを見ながら変遷を確認してみる。
 明治中頃(1888-1898年)の地図にすでに現在地に鳥居マークがある。集落や周囲の状況からして最初からこの場所にあった可能性が高そうだ。現在よりやや北寄りなのは地図だけのことなのか、実際に少し北にあったのかは分からない。道路や家の状況は時代とともに大きく変わっているから、境内地の変遷もあっただろう。
 1920年(大正9年)ではあまり大きな変化はないものの、新たな区割りが行われて、ここは上中之割になった。
 戦後すぐの1947年は家が大きく減っている。神社由緒碑には空襲を受けたものの上中地区は一戸も焼けなかったと書いている。とはいえ、多くの場所が空白になっているということは、ここもただでは済まなかったに違いない。
 昭和34年(1959年)の伊勢湾台風ではこの地区も大きな被害を受けた。神社も拝殿が流されている。
 1960年代以降に区画整理され、家も増え始める。
 1970年代 西福田小学校ができて、家もかなり増えた。
 それ以降は1990年代にかけてはあまり変わっていない。現代も田んぼが残っている。



 石灯籠や社殿はかなり新しい印象を受ける。近年新しく建てたものだろうか。
 境内社の秋葉社の堂内には神楽が保管されている。祭りのときはこの神楽が出されて練り歩くのだろう。




作成日 2018.8.25(最終更新日 2019.8.1)


ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

見た目が熱田社っぽい西福田5神明社

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