牛毛神社

牛毛村で牛頭天王を祀った天王社

牛毛神社入り口

読み方 うしげ-じんじゃ
所在地 名古屋市南区元鳴尾町218 地図
創建年 不明(1582年より以前)
社格等  村社・十三等級
祭神

素戔嗚尊(すさのおのみこと)
誉田別尊(ほんだわけのみこと)

アクセス

・名鉄常滑線「本星﨑駅」から徒歩約30分
・JR東海道本線「大高駅」から徒歩約30分
・駐車場 なし

webサイト  
オススメ度

 牛毛神社とはまた変わった名前だ。牛の毛が何か関係あるのだろうかという素朴な問いが浮かぶ。
 実はそうではなくて、かつてここが牛毛村だったことが神社名の由来となっている。
 じゃあ、村名の由来が牛の毛かといえばそうでもないようで、津田正生『尾張国地名考』にこうある。
「牛毛は正字 海潮池の釣るなるべし」
 海潮池は「うしおいけ」か「うみしおいけ」だろうけど、それを略したものだという説だ。現在の神社名は「うしげ」となっているけど、江戸期の村名は「うしけ」だったようだ。
 それにしても、何故、牛毛などという字を当てたのだろう。
 現在の地名は元鳴尾となっている。西隣には鳴尾がある。
 さかのぼるとかつては海だったところだ。鳴海の地名が海鳴から来ているように、鳴尾の地名も鳴海の尾から来ているのだろう。
 くさび形をした笠寺台地の南で、天白川が運んできた砂によってできた砂洲だ。時代が進むにつれて土地が広がり、集落が出来、江戸時代にはいって新田が開発された。
 鳴尾村は明治9年(1876年)に、牛毛荒井村や鳴海伝馬新田、源兵衛新田などが合併して誕生した。
 牛毛荒井村については『尾張国地名考』の中にこうある。
「【箕浦賢屯曰】牛毛と新井は二村なり 文化年間より官府にては一串に牛毛新井とよぶ
【正生考】新井は天白川と鳴海宿の扇川とを堀わるに付て呼る名にや猶尋ぬべし」
 牛毛村と荒井村は合体してひとつの村扱いされていて、新井村とも表記したことが分かる。

 牛毛神社は江戸期は天王社、もしくは牛頭天王社と呼ばれていた。
『尾張志』にも、「天王ノ社 牛毛むらにあり」とある。
 神仏習合時代は牛頭天王を祀る天王社で、明治の神仏分離令でスサノオを祀る神社としたということだろう。牛毛神社と改名したのが明治なのか昭和なのかは調べがつかなかった。
 神社の由緒によると、牛毛海岸に毎年のように津島天王社(津島神社)の神符が流れ着いたため、これは神意に違いないということで村人たちが村の守り神として牛頭天王を祀ったのが始まりとしている。
 神社創建は太閤検地(1582年-1595年)以前だろうという。その根拠は神社が天白川の堤防の上にあることによるのだと思う。まだ新田が開発される前ということだろう。
 境内の由緒書きには文政5年(1823年)創建とあるけど、それはちょっとないように思う。
『愛知縣神社名鑑』は「古くて創建は明かではない」と書いている。通常、創建は明かではないとするところを、わざわざ古くてという説明を足しているところをみると、この神社は意外と歴史があるかもしれない。
 ただ、牛毛海岸に毎年のように津島天王社のお札が流れ着いたという話をそのまま受け取るわけにはいかない。
 天白川の源流は日進市の三ヶ峯(さがみね)にあって、途中、三本木川、岩崎川、折戸川、植田川、扇川などと合流して伊勢湾(名古屋港)に注いでいる。
 源流から自転車でずっと川沿いを行ったことがあるけど、大きな津島社はなかった。江戸期以前はどうだったか分からないけど、津島天王社方面からの流れではないことは確かだ。
 ちなみに、天白川の名前は、天白橋近くに天白神が祀られていたことからそう呼ばれるようになったとされる。お札が流れてきたというなら、天白信仰関係の神社の方が自然な気がする。
 ひとつ、ヒントになりそうな話がある。
 牛毛村一帯は農業を中心としながら平田船という独自の船を持っており、万場の渡しや津島天王祭の船役を務めることがあったというものだ。
 平田船というのは、底が平らで細長い格好をしていて、浅瀬でも航行できるという特徴がある。
 尾張津島天王祭は500年以上の歴史を持つ尾張を代表する祭りのひとつで、たくさんの提灯を付けた何艘もの巻藁舟(まきわらぶね)を天王川に浮かべて漕ぎ渡るというものだ。信長、秀吉も見たとされる。
 その祭りに牛毛村の船を使ったというのであれば、村に津島から牛頭天王を勧請して天王社を建てたというのもごく自然な話といえる。
 あるいは、いつの頃か村で疫病が流行って、津島天王社から牛頭天王を勧請したということかもしれない。
 一度か二度くらい、村人が海岸で津島天王社のお札を拾ったことあって、そこから由緒の物語が作られたというのはありそうな話だ。

 神社の横を流れる天白川は、もうだいぶ河口に近く、わずかに潮の香りがした。牛毛海岸だった頃の面影はまったくないけれど、神社に伝わる話にその風景を思い浮かべることができるような気がした。

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

牛毛神社は堤防の上で地域を守るほのぼの系

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