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小社(富田町千音寺)

どんな神を祀ったのか誰か知る

富田千音寺不明社

読み方 しょうしゃ(とみだ-せんのんじ)
所在地 名古屋市中川区富田町大字千音寺字中屋敷 地図
創建年 不明
旧社格・等級等 不明
祭神 不明
アクセス JR関西本線「春田駅」から徒歩約43分
駐車場 なし
その他  
オススメ度

 富田町大字千音寺中屋敷の細い道が入り組んだところを奥へ入った行き止まりにこの小さな神社はある。
 狭いながらも小型の鳥居と拝殿を持っており、神社としての体裁は整っている。
 社は二社並んでおり、向かって右手がやや大きく作られている。神明造でも流造でもない簡素な板宮造だ。
 社名や祭神名はどこにもなく、どんな神社か外観からでは分からない。
 このあたりは角かどに地蔵堂が配置されていて、ちょっと独特の雰囲気を持った町となっている。
 千音寺には圓乗寺、行雲寺、長禪寺や赤星神社天神社などがあり、歴史の古さを物語っている。

 千音寺(せんのんじ)の地名について津田正生は『尾張国地名考』の中で、今(江戸時代)はない寺の名前から来ているのではないかと書いている。旧名を赤星村といい、「猶たづぬべし」としているから確信は持てなかったようだ。
 一説では行雲寺の本尊が千手観音で、千手観音寺と呼ばれていたから、それが略されて千音寺となったともいう。
 行雲寺は天台宗の霊場で、聖武天皇の勅願寺という古い寺だ。 
 住所に大字(おおあざ)が残っているところは名古屋市内でも少なくなった。

 今昔マップの明治中頃(1888-1898年)を見ると、神社があるのは千音寺村集落の中央近くだったことが分かる。当時と今では道筋が少し違っているのだけど、神社が当時からこの場所にあったとすれば、昔も道から少し入った行き止まりにあったということになりそうだ。
 道筋こそ多少整備されたものの、町割りとしては明治以降あまり変わっていないかもしれない。

 千音寺中屋敷にあるこの神社がどんな神社なのか、まったく分からない。情報もなく、予想するのさえ難しい。
 神明造ではないから神明社ではないとは言い切れないのだけど、そうではないような気はする。
 二社のうちの一社は秋葉社だろうか。もう一社は熱田社か津島社か。
 このあたりは古い土地で熱田社との関わりが薄いところなので、屋根神様系統ではない可能性が高い。
 圓乗寺、行雲寺、長禪寺からもそれぞれ100メートル、200メートル離れているから寺の中にあった鎮守でもなさそうだ。
 これがずっと古い時代から祀られてきたものであるとすれば、もはや住民さえもどんな神を祀ったものなのか知らないかもしれない。

 

作成日 2018.1.4(最終更新日 2019.7.16)

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路地の奥の富田町千音寺不明社

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