八幡社(四女子町)

四女子八幡社では龍蛇神を忘れずに

四女子八幡社

読み方 はちまん-しゃ(しにょし-ちょう)
所在地 名古屋市中川区四女子町4-47 地図
創建年 不明
社格等 村社・十五等級
祭神

誉田別尊(ほむだわけのみこと)
息長帯姫命(おきながたらしひめのみこと)

 アクセス

・あおなみ線「荒子駅」から徒歩約21分
・駐車場 なし

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オススメ度

 四女子の地名は古くからあったようで、江戸時代にはすでにその由来が分からなくなっていたらしい。「しにょし」と読む。
 ある豪族が七人の娘をそれぞれ別の村に嫁がせて一女子村から七女子村まで名付けたなどという話がある。そんな話でも思いつかなければ、この変わった村名の説明がつかなかったということだろう。
 現在は二女子、四女子、五女子が町名として残っている。江戸時代には七女子村もあって、それ以外はわずかに痕跡があるくらいだったという。
 この八幡社が四女子村の氏神だったのは間違いなさそうだ。
『尾張志』にも「八幡ノ社四女子村にあり」と書かれている。
『寛文村々覚書』には「八幡壱社 社内年貢地 熱田 与大夫持分」とある。
『尾張徇行記』では「八幡社界内年貢地 此社府志ニモ載レリ」とする。
 江戸期における名古屋は当然、尾張藩が支配していたわけだけど、藩の直轄地というのは有松、鳴海、本地村と新田村くらいで、あとは志水、竹腰、成瀬といった家老の持ち分だったり、寺社のものだったり、相給(あいきゅう)といって共通支配だったりした。
 その中でもやはり熱田神社の力は大きく、熱田の持分というのがけっこうあったようだ。

 創建年については予測が難しい。江戸時代に入ってから名古屋城下の外れで八幡社を創建するだろうかと考えると、江戸期以降の可能性は低そうだ。
 では、戦国時代、もしくは室町時代あたりだろうかというと、1608年の備前検地のときにも除地になっていないところをみると、それほど歴史のある神社ではないのかもしれないとも思う。
 社殿が東向きになっているのは元々ではなく、昭和5年にこの地に移されたときだと思われる。
 自然河川だった中川(笈瀬川)を運河にする工事に伴って移された。
 四女子町字居屋敷東145番地という地名は残っていないので、はっきりしたことは分からないのだけど、現在地より東の中川運河の近くだろう。
 十二支の動物が彫られた拝殿は、昭和5年に建てられたものか、戦後に建て直されたものか。
 拝殿と渡殿の間に銀色のサッシの扉が付いていて、ちょっとがくっと来る。

 境内社に出雲龍蛇神を祀る社がある。
 出雲大社というと一般的にはオオクニヌシ(大国主命)による縁結びというイメージが強いけど、それと同時に龍蛇神信仰というものがある。
 旧暦十月は神無月(かんなづき)だけど、出雲では神有月というというのはわりと知られている。その神有月に出雲大社で行われている神在祭(かみありさい)についてはあまり知られていないと思う。
 神を迎える神迎祭(かみむかえさい)に始まり、神在祭を行い、神等去出祭(からさでさい)で神を送り出す。
 その神在祭の主役ともいうべきなのが龍蛇神だ。
 この時期、出雲の海は荒れて、浜にウミヘビが打ち上げられることがある。背中は黒くて腹は黄色で、セグロウミヘビと呼ばれている。
 そのウミヘビが全国からやってくる神々を先導すると信じられていて、ウミヘビは神の使いとして出雲大社などの神社に奉納される。
 出雲大社において龍蛇信仰がいつ頃興ったものかはよく分からないそうだけど、室町時代の終わりにはすでに行われていたようだ。
 その神事を見るためには龍蛇神講というものに入らなければいけないらしく、一般は見ることが叶わない。
 この龍蛇神信仰は西日本では盛んなようだけど、名古屋では珍しいと思う。龍蛇神を祀る社は初めて見た。
 いつどういうきっかけで四女子で龍蛇神を祀ることになったのかが境内の由緒書きに書かれている。
 この地に龍蛇神を迎えたのは明治40年のこと。なんでもこの時期、四女子村はケンカが絶えず騒然としていたらしく、村総代の岡田与平は騒動を静めるために東奔西走し、それを見かねた岡田惣七という人が出雲に出向いて参籠して龍蛇神を拝受し、四女子で祀ったところ騒動は収まったのだとか。
 昭和20年の空襲で八幡社ともども焼けてしまい、八幡社は昭和35年に復興したものの、龍蛇神社まで手が回らず放置したまま月日が流れ、昭和62年になってようやく復活させようという話になり、氏子総代の岡田昌之が出雲大社名古屋別院にお願いしたところ、なかなか承諾が得られず、翌昭和63年に出雲に出向いて出雲大社の千家国造家に「再三再四懇願して」、ようやく平成元年に認可が下りて再びお祀りできることになったのだった。
 神社の境内社にもドラマありと再認識するエピソードだ。
 この話を聞くと、龍蛇神というのは出雲大社でも重要な存在で、どこでもここでも簡単に祀れるというわけではないようだ。
 四女子八幡社を訪れた際は、忘れずに龍蛇神も参拝していってほしいと思う。出雲式で、ここでは二拝四拍一拝が作法となっている。

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

四女子八幡社は出雲龍蛇神がいる神社

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