八王子神社(野田)

八王子は法華経から?

野田八王子神社

読み方 はちおうじ-じんじゃ(のだ)
所在地 名古屋市中川区野田2丁目375番地 地図
創建年 不明
社格等 無格社・十五等級
祭神 天照大御神(あまてらすおおかみ)
須佐之男命(すさのおのみこと)
 アクセス

・地下鉄東山線「高畑駅」から徒歩約18分
・駐車場 なし

webサイト  
オススメ度

 かつての野田村の三社のうちの一社。
『尾張志』にはこうある。
「野田村
 神明ノ社 村の氏神也 末社に白山社八幡社あり
 八王子ノ社 氏神より東南にあり
 サグジノ社 氏神より東にあり」

『寛文村々覚書』
「野田村
 神明 斎宮司 八王神 前々除 中郷村祢宜 孫大夫持分」

『尾張徇行記』
「野田村
 神明社斎宮司社八王神社界内二反九畝前々除 府志ニモミエタリ」
 神明社、三狐神 八王子社 此三社草創ハ知レズ、再建は寛文七年未年ナリ」

 江戸時代を通じて野田村の神社はこの三社で変わらなかったようだ。
 少し気になるのは、「八王神」と「八王子」が混在している点だ。八王子と八王では意味がちょっと違ってくる。もともと八王だったのが八王子になったのか、最初から混在していたのか。
 創建は三社とも不明ながら、ともに寛文七年に再建したと『尾張徇行記』は記している。寛文七年は江戸時代前期の1667年だ。
 三社の創建が同時期なのかどうか、どこまでさかのぼれるかはなんとも言えない。
『愛知縣神社名鑑』は、「創建は明かではない。荒子村野田に鎮座崇敬あつく明治6年据置公許となる」とあるだけで詳しい説明はない。

 神社の由緒書きでは、祭神をアマテラス(天照大神)とスサノオ(須佐之男命)の誓約(うけい)で生まれた五男三女神としている。
『愛知縣神社名鑑』は祭神をアマテラス(天照大神)とスサノオ(須佐之男命)とする。
 もともとは八王子権現だったと由緒書きに記してある。五男三女神をあてはめたのは明治以降のことだ。
 八王子権現とは何かというと、これがなかなか難しい。
 一般的には牛頭天王と頗梨采女(はりさいじょ)との間に生まれた八人の王子のこととされることが多い。
 大歳神、大将軍神、大陰神、歳刑神、歳破神、歳殺神、黄幡神、豹尾神がそれに当たる。
 実際にその通りの場合もあるのだろうけど、どうもしっくりこない感じもある。
 牛頭天王を信仰する天王信仰が尾張で流行したのはもう少し時代的に後ではなかっただろうかというのがひとつ。
 もうひとつは、牛頭天王ではなくその王子を祀った理由がよく分からないことだ。
 天王社の牛頭天王と対になる形で八王子を祀ったというなら分かる。この近くにあった天王社というと、中郷の津島神社がある。ただ、中郷は隣村だけど、距離にすると1.5キロほど離れている。これが対の関係だったかどうか。
 別の可能性として、法華経信仰から発したものかもしれない。
『法華経序品』に八王子(八つの精神)が出てくる。

其最後仏。未出家時。有八王子。一名有意。二名善意。三名無量意。四名宝意。五名増意。六名除疑意。七名響意。八名法意。 是八王子」

「威徳自在。各領四天下。是諸王子。聞父出家。得阿耨多羅三藐三菩提。悉捨王位。亦随出家。発大乗意。常修梵行。皆為法師。已於千万仏所。植諸善本」

 日月燈明如来(にちがつとうみょうにょらい)が出家する前に八人の王子がいて、これらの王子は徳が高く、悟りを開くために仏の道に入り、誰も王位を継がずに修業に励んで善行をなしたといった意味で、法華経の教えとして語られた。
 この八王子精神といったものが信仰対象となり、八王子権現と呼ばれ、神仏習合する中で神社の祭神のようになっていったという例もありそうだ。

 法華経というと、野田村の南には法華村もあった。ここは村人の多くが法華経の信者だったことから名付けられたとされる。
 戦国時代の武将の間でも法華経は信じられており、信長や武田信玄、上杉謙信、加藤清正なども法華経とは関わりが深かったとされる。
 この八王子神社の創建が江戸時代初期か戦国時代あたりだったとすれば、法華経信仰から発して変化していった可能性はあるんじゃないかと思う。

 かつて神社は神田を持っていて斎田として稲作をしていたと由緒書きにある。その後、県に買収されてしまったようだ。
 町名が野田になる前は八王子町だった時代がある。それはここ八王子神社が由来だ。
 拝殿の彫り物が立派で、時代を感じさせる。
 本殿は『愛知縣神社名鑑』では神明造とあるけど、写真で確認すると流造に見える。にもかかわらず、外削ぎの千木と鰹木五本がついている。
 祭神がアマテラスとスサノオの同居ということで、両神のために融合させたのかと考えるのは考えすぎだろうか。

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

八王子か八王神か、野田八王子神社

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