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豊田本町神社

豊田本町の歴史の中で

豊田本町神社入り口

読み方 とよだほんまち-じんじゃ
所在地 名古屋市南区内田橋2丁目16-8 地図
創建年 不明
旧社格・等級等 不明
祭神 熱田大神(あつたのおおかみ)
アクセス 名鉄常滑線「豊田本町駅」から徒歩約7分
駐車場 なし
その他 例祭 10月10日(体育の日?)
オススメ度

 名鉄常滑線の豊田本町駅(地図)の西、住所でいうと内田橋2丁目に豊田本町神社はある。
 かつての豊田本町はすでにない。駅名などに名を残すのみとなっている。豊田本町駅の西が内田橋、東が豊で、その南が豊田になる。
 このあたりは江戸時代の新田開発に始まり、明治、大正、昭和と様々な変遷や区画整理による町名変更があった。
 重要なポイントのひとつとして新堀川の存在がある。かつては精進川(しょうじんがわ)と呼ばれていた。
 千種区一帯の湧き水などを源流として、熱田台地の上を北から南へ蛇行しながら流れ、熱田社(web)の東を通って伊勢湾に注いでいた。
 精進川の呼び名は熱田社の神官が6月の名越の祓のときにこの川で禊(みそ)ぎをしたことから来ているという。
 戦国武将の堀尾金助と母の物語で知られる裁断橋も、精進川に架かる橋だった。
 この川は大雨のたびに氾濫を起こしていたため、住民たちの悩みの種だった。明治16年(1883年)に川を付け替えて運河にする計画が立てられ、明治43年(1910年)に新堀川が完成した。
 精進川は大正15年(1926年)に埋め立てられて消滅している。
 新堀川は中区の堀留水処理センターを起点として、ほぼ真っ直ぐ北から南へ流れ、熱田神宮南の伝馬町と南区の内田橋の間で堀川と合流する。内田橋側から見ると川向こうに宮の渡し跡(地図)がある。
 何故この新堀川がポイントかというと、明治以前の精進川時代は、熱田区の伝馬町と南区の豊田本町のあたりは地続きの土地だったということがあるからだ。住んでいる人たちも自分は熱田の南に住んでいるという感覚が今より強かったと思う。
 内田橋の北、新堀川南岸に豊門神社地図)があり、そのすぐ南に豊田本町神社(地図)がある。ここから少し南西へ行くと豊郷神社地図)、その南に紀左衛門神社地図)がある。豊田本町駅の東には古傳馬神社地図)といった具合に、このあたりには神社が集まっている。それらはすべて江戸時代以降、新田開発された土地に建てられたものだ。
 町名のことをいうと、豊田本町のあたりは昭和60年(1985年)までは豊門町だった。豊門町ができたのが昭和初期のことなので、その町名も新しい。
 かつての図書町、屋敷町、二条町、明治町などもそれぞれ町名が変わっていて、なかなかに複雑だ。

 豊田本町神社について分かることは少ない。
『南区の神社を巡る』は『わたしたちの学校 明治』を引用して紹介している。
 それによると、現在境内社になっている加寿稲荷が古くから竹藪の中にあったこと、大正9年(1920年)に内田橋から氷室への知多街道が開通すると道沿いに家が建ち並んで賑やかになったこと、地主の堀田清右衛門にちなんで昭和初年まで堀田神社と呼ばれていたことなどを知ることができる。
 戦前の区画整理で豊田本町ができたときに神社名を豊田本町神社と改称したとも書いている。創建を昭和3年(1928年)としているから、豊田本町神社とあらためたのがその年ということだろうか。
 堀田神社がいつ誰によって建てられたかは書かれていない。
 堀田家は伝馬町の溜屋で、このあたりの大地主だったようだ。新田でいうと、古伝馬新田ということになるのだろう。
『南区の歴史』は、伊勢・熱田大神の合祭としている。
『南区の神社を巡る』は境内社として伊勢神宮としているので、そちらが正しいかもしれない。
 もともと今より少し東にあったものを、昭和49年の道路拡張工事にともなって現在地に移した。

 内田橋と聞いて何か特別な印象を持っている名古屋人はかなりご高齢の方ではないかと思う。私などはまったくピンと来ない。
 大正時代に知多街道ができて以降、昭和初期にかけて、このあたりは大変な繁華街だったという。街道沿いに飲食店や映画館などが建ち並び、一時は大曽根・大須・内田橋と並び称されるほどだったのだとか。近年は大曽根もずいぶん寂れてしまったけど、内田橋の住人ですら内田橋がかつて繁華街だったことを知らないのではないか。
 商店街は第二次大戦の空襲で焼け、戦後は知多街道の渋滞解消のために新内田橋が架けられて車の流れが変わり、旧商店街の賑わいは去った。
 見渡す限りの田んぼしかなかった時代から考えると、浮き沈みを経てこのあたりも大きく様変わりした。そして、神社は残った。

 

作成日 2017.5.9(最終更新日 2019.8.12)

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

豊田本町はなくなっても神社は残った

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