神明社(正徳町1)

二十二番割の分身?

正徳町1丁目神明社

読み方 しんめい-しゃ(しょうとくちょう1)
所在地 名古屋市港区正徳町1丁目16 地図
創建年 不明(1751-1764年?)
旧社格・等級等 村社・十四等級
祭神 天照皇大神(あまてらすすめおおかみ)
アクセス あおなみ線「中島駅」から徒歩約7分
駐車場 なし
webサイト  
オススメ度

 正徳町には3つの神明社があるので、それぞれの丁をつけて正徳1丁目神明社、正徳2丁目神明社、正徳5丁目神明社として区別している。ここは正徳1丁目にある神明社だ。
 江戸時代前期の1646年(正保3年)から1649年(慶安2年)にかけて干拓によって作られた熱田新田のうちの二十番割に当たる。熱田新田は東の一番割から西の三十三番割まで33の番割に分けてそれぞれに観音堂を祀っていた。番割のうちのいくつかには氏神も勧請した。そのうちのひとつがこの二十番割神明社だ。

『愛知縣神社名鑑』では創建は明かではないとしている。
『尾張志』(1844年)では「廿番割の氏神也 寶暦年中に勧請す」と書いている。宝暦年間は1751年から1764年までだ。
 熱田新田の開発から100年も経ってから神社を創建するということは不自然にも思えるのだけど、その間に熱田新田の所有者も変わったり村の状況に変化があったりして、そのとき神社を建てようということになったのだろう。
 境内の由緒書きによると、「二十二番から分身を迎え、五穀豊穣を願って勧請した」とある。
 これは意外だ。本当だろうか? 二十二番割の神明社は現在の正徳町2丁目神明社のことだ。創建年は不明ながら二十二番割の氏神として勧請したには違いない。そこから更に勧請して神明社を建てるということがあったのだろうか。ちょっと信じられない気もする。
 気になる話として、二十二番割神明社と二十番割神明社に、江戸時代に伊勢から御師(おんし)が来ていたという話が伝わっていることだ。そういったことが他にもあっただろうけど、話としては初めて聞く。伝承として残っているということは何か意味があったと考えられる。
 江戸時代、お伊勢参り(お陰参り)の大きなブームが三度起きている。一度目が1705年で、二度目が1771年、三度目が
1830年だった。理由はよく分からない。
 二十番割神明社の創建が本当に1751-1764年の間だとすると、第一次お陰参りブームと第二次お陰参りブームとの間に当たる。伊勢から御師が来ていたという話と神明社創建が直接つながるのかどうか。参拝者が減ったから御師が地方の営業に出て、その結果として神明社が建てられたという例があったかもしれない。

 正徳町(しょうとくちょう)は昭和36年(1961年)に小碓町の一部より成立した。
 正徳の由来についてははっきりしない。正徳年間(1711-1716年)は熱田新田完成から年月が経っているので、正徳年間から来ているとは考えにくい。熱田新田を開発した尾張藩初代藩主・徳川義直の徳に報いるために正しくあろうという願いを込めて名づけたという説もある。

 今昔マップの明治中頃(1888-1898年)を見ると、神社があるのは百曲街道のすぐ南で、家のない田んぼの中だ。集落はやや離れた西と南に少しある。地図で見る限り、元からこの場所にあったとは考えにくい。
 1920年(大正9年)の地図を見ると、正徳町2丁目神明社がある位置に鳥居マークが描かれている。これが二十二番割神明社だろう。この地図でも二十番割神明社に当たる鳥居マークは確認できない。
 1932年(昭和7年)の地図に新たに鳥居マークが現れる。現在、正徳公園になっている南側だ。これが正徳町1丁目神明社だろうか。
 昭和34年(1959年)の伊勢湾台風ではこの神明社も大きな被害を受けて昭和36年(1961年)に再建している。そのときに移したのだろうか。
 今昔マップは1950年代の地図がないのが残念なところで、1947年から1960年代後半に飛んでしまう。この頃までには民家が建ち並ぶ住宅地になっている。
 現在地に鳥居マークが描かれるのは1976-1980年の地図からだ。

 神社入り口右側に二十番割観音堂がある。三十三番割観音で単独で残っているところは少ない。
 堂の中を覗くと、中央に観音像、向かって右手に弘法像があり、向かって左手に小さな社と秋葉山の御札が祀られている。
 意識していないと目に入ってこないけど、神社めぐりをしている途中で多くの観音堂や弘法堂や地蔵堂を見かける。それらは誰かが守っているから存在しているわけで、そうした小さな祈りの集合体がこの世界を守っているともいえる。
 手を合わせるまでしなくても、ああ、ここにあるなと認識するだけでも喜ぶと思う。

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

二十番割の神明社(正徳1)と観音堂

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