上野天満宮別宮

神社がある日コンビニに!?

上野天満宮別宮

読み方 うえの-てんまんぐう-べつみや
所在地 名古屋市千種区赤坂町1丁目 地図
創建年 不明
旧社格・等級等 不明
祭神 なし(菅原道真)
アクセス 地下鉄名城線「茶屋ヶ坂駅」から徒歩約6分
駐車場 なし(コンビニ駐車場はあり)
その他 上野天満宮御旅所 例祭 10月25日
オススメ度

 コンビニ駐車場の一角に鎮座する神社というのはなかなかない。初めて見たときはすごいロケーションだなとのけぞった。
 これはセブンイレブンが祀っているというわけではなく、もともと神社があった敷地にセブンイレブンが建ったことでこんなことになってしまったのだった。それが2006年くらいのことのようだ。
 鳥居こそないものの、玉垣で囲ってあり、狛犬もいて、玉砂利も敷かれているくらいで、一応、神社としての体裁は整っている。
 現在この社は、上野天満宮地図)の別宮、お旅所ということになっている。コンビニができる前からそうだったようで、だとすれば上野天満宮が土地を売ったということだろう。上野天満宮ならやりかねないことだ。同じように近くにあった八坂社地図)も廃社にして土地を売ってしまった。
 お旅所という扱いなので、普段は社に神様はいないことになっているらしい。そのため賽銭箱は置いてない。
 年に一度、10月25日の例祭のときに上野天満宮から神輿に乗せられた菅原道真さんがここにやって来てしばらくとどまることになっているそうだ。

 以前の状態のときに訪れたことがないのでどんな様子だったかはネットの写真でしか把握できていない。
 それを見ると、赤坂町交差点の角地に境内があり、拝殿や社務所もある小規模の普通の神社だったようだ。
 その頃は浅間神社の社号標と一之御前社の由緒書きがあったらしい。鍋屋上野村にあったそれらの神社がここに合祀されていたのだろう。今はその祭神がどうなってしまったのかは分からない。上野天満宮に合祀されたということだろうか。
 2017年に上野天満宮に新しく建った晴明殿(結婚式場)は上野天満宮の境内社も兼ねているようなのだけど、そこには浅間社も一之御前社もない。

 江戸時代の鍋屋上野村(上野村)の神社は以下のようだった。

『寛文村々覚書』(1670年頃)
「社七ヶ所 内 天神 浅間 八幡 天王 愛宕 山神 一王御前 社内弐町壱反拾歩 前々除」

『尾張徇行記』(1822年)
「地蔵堂牛頭天王祠弁才天、是ハ永弘院ノ界内ニアリ」
「庚申堂界内四畝、一ノ御前祠界内三反、愛宕祠界内四反八畝八歩、八王子祠界内五畝、山神祠界内一畝十八歩前々除」

『尾張志』(1844年)
「浅間社 天王社 一御前社 八王子社 愛宕社 天神ノ社」

 これらのうち天神というのが今の上野天満宮のはずだ。
 山神は南区道徳の観音町に昭和15年に移された山神社だろうか。しかし、かつての上野村酉新田、今の田代町にも山神社があるので何ともいえない。
 八王子社は中区新栄に昭和18年に移された八王子社(新栄)だ。
 愛宕社は現存しており、天王社は八坂社のことで、上野天満宮に合祀されて現存していない。
 八幡社がどうなってしまったのか追跡できていない。
 浅間社と一之御前社の消息も不明ということになる。

 鍋屋上野村は江戸時代の前期は上野村だった。それ以前は狩津村といって集落はもっと北にあった。のちに南の高台に移り、上野村と呼ぶようになった。
 江戸時代前期の寛永年間(1624-1644年)に、鍋鋳職人の水野太郎左衛門の祖先がこの地に住みついたので鍋屋上野になったと、津田正生は『尾張国地名考』の中で書いている。
 春日井郡や丹羽郡にも上野村があったので、区別するためということもあったようだ。
 明治22年(1889年)に鍋屋上野村と千種村のうち字愛宕前・弦月の一部が合併し、大字鍋屋上野と大字千種が成立。
 明治39年に田代村と合併して東山村になった。
 大正10年(1921年)に東山村大字鍋屋上野を名古屋市東区に編入し鍋屋上野町が成立した。
 神社があるあたりの赤坂という地名は、文字通り赤土の坂があったからとされる。
 かつてあった赤坂池(天池)は埋め立てられて今は赤坂公園(地図)になっている。その一角に龍神を祀っていたらしいのだけど、これも今はなくなってしまった。

 それにしても、神社がある日突然コンビニになってしまったら驚くだろう。通常あり得ないことだ。駐車場の角に社を建ててお茶を濁せばいいという問題ではない。
 今後はそういうことも増えていくのかもしれないと考えるとちょっと焦る。今のうちに今ある神社を全部回って記録しておかないといけない。今ならまだ調べれば分かることも、10年後、20年後は分からなくなってしまうかもしれない。戦後のことを知るお年寄りもどんどん少なくなっていく。
 ただ、明治の神仏分離令や神社合祀政策を思うと、これも時代の流れと受け入れるしかないだろうか。

 

作成日 2018.1.22(最終更新日 2019.2.15)

ブログ記事(現身日和【うつせみびより】)

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