御器所八幡宮の北東、道を挟んだ角に目立つ木が立っていて、その根元に祠がある。 最初にパッと見たときは、旧街道沿いにあった木の名残だろうかと思ったのだけど、どうやらそうではないようだ。 祀られているのは、いぼ神様だという。 いぼ神というと、中川区月島にある金刀比羅社の中の西宮神社が思い浮かぶ。他にも中川区山王の露橋神明社の中にも西宮社があった。 そこではシャモジに願いを書いて奉納するという風習が今に伝わっている。 社宮司社や三狐社などとも書き、総称してミシャクジ信仰などと呼ばれている。 御器所のいぼ神様も同じような信仰が元になって祠にいぼ神を祀るようになったと考えられる。 神社というほどの規模ではないから、最初から神社名はなかったのかもしれない。皆がいぼ神様と呼び習わしていて、その呼び名が残ったということだろう。 一部ではわりと知られるところのようで、市外からも願掛けに訪れる人がいるという。
社は3つ並んでおり、左右は津島社と秋葉社だそうだ。 いつ頃からいぼ神様を祀る祠がここに置かれたのかは分からない。 この木は何の木だろう。この木といぼ神様は関係あるのかないのか。 役行者像の石像も置いてあり、御嶽教や修験なども習合している感じだ。 町内で守っているのかどうかよく分からないのだけど、6月の例祭には御器所八幡宮の神職が神事を執り行っているということで、御器所八幡宮の管理になっているのかもしれない。
古い時代から続く民間信仰は、21世紀の現代にも消えずに残っている。根深いというか根強いというか、見えないところで根を張っている。 科学は必ずしも万能ではないし、西洋医術が人の病気のすべてを治してくれるわけでもない。 目に見えない世界は確かにあって、人はそれを無意識に知っているのだろう。 プラスの面だけではなく、祟りや怨念といったものも、今なお、この世界には存在しているのだ。
作成日 2017.9.30(最終更新日 2019.3.18)
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