桜花学園高校(web)の敷地内にある小さな社。 高校が関係している社というわけではなく、屋根神様でもない。近くにある御器所八幡宮の分社として祀ったのが始まりだそうだ。昭和初期のことという。 桜花学園高等学校は大正12年(1923年)に 桜花高等女学校として開校した。 ということは学校の方が先にあったということで、学校の外にあった社が、校舎の建て増しか何かで敷地が広がったときに校内に取り込まれる格好になったということだろうか。以前は少し離れた別のところにあって、何年か前に現在地に移されたようだ。神社の後ろは体育館なので、これが関係しているかもしれない。
御器所八幡宮の分社ということで、御器所八幡の神を氏神として祀り、その他に熱田社、津島社、伊勢神宮、尾陽社を祀っている。 尾陽社というのは、尾陽神社の分社だろう。 この五社の組み合わせはなかなか珍しい。昭和区らしさが出ている。 現在は緑町1丁目の町内会が管理しているとのことで、元日には御器所八幡宮の宮司を呼んで祭礼を行っているそうだ。
緑町(みどりちょう)は昭和6年(1931年)に御器所町と広路町の各一部より成立した。 今昔マップの明治中頃(1888-1898年)を見ると、神社がある場所とその周辺は完全な空白地帯となっている。樹林か何かのマークが少し描かれているのだけど、その当時はどんな状況だったのだろう。未開発の林とかだっただろうか。 1920年(大正9年)になると西側は家が増えて住宅地になったものの、東側はあまり変わっていない。丘陵地だったかもしれない。 それが1932年(昭和7年)になると突然住宅地になっていて驚く。現在の町割りはこの頃に完成している。桜花学園ができて変わったということもあっただろう。 戦後の1947年はまだあまり変化がない。御器所の中心の方が空襲が激しかったようで空白地が目立つ。 1968-1973年になると隙間なく家が建った。
結果的にこの御器所八幡宮分社は桜花学園を見守ることになった。女子高生がこんな社に興味を持つとは思えないけど、気づいていなくても神は守っている。 桜花学園は女子バスケットボール部の強豪として名が通っている。インターハイの全国優勝22回、ウィンターカップ優勝21回、国体優勝19回を誇る。 バスケ部が練習しているのが社の後ろの体育館で、社では八幡神を祀っている。桜花学園バスケ部の活躍の裏にこの小さな社がいくらかの力を与えているといっていいのではないか。 遠くの有名神社より近くの無名神社を大事にした方がいいこともある。
作成日 2018.9.7(最終更新日 2019.3.20)
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