神様事典(名古屋編)

天照大神(アマテラス) ーーー 『古事記』では天照御大神、『日本書紀』では天照大神と表記される。
 皇室の祖神であり、伊勢の神宮の皇大神宮(内宮)の祭神。
 父はイザナギ(伊弉諾)、母はイザナミ(伊弉冉)で、弟にツクヨミ(月夜見)とスサノオ(素戔嗚)がいる。
 もともと天照(アマテル)として太陽神を祀っていたときは男神だったという説がある。『日本書紀』編さんに関わった持統天皇と藤原不比等が自分たちを正当化するためにアマテルをアマテラスという女神にしたと言う人もいる。
 別名をオホヒルメノムチ(大日孁貴)といい、「孁」は「巫」と同義であることから太陽神に仕える巫女だったという説もある。
 アマテラスの食事の世話をするために呼び寄せたのが女神のトヨウケビメであり、アマテラスの御杖代(みつえしろ)は崇神天皇の皇女・豊鍬入姫命に始まり、皇室の未婚女性から選ばれていることからもアマテル/アマテラス男神説もなくはないのかと思ったりもする。
 名古屋でアマテラスを祀る神社ならココというようなところは思いつかないのだけど、神明社はたくさんある。特に名古屋南西部に伊勢の神宮の荘園、一楊御厨(いちやなぎのみくりや)があった関係で中村区、中川区には神明社が多い。
 オススメ神社60選で、花車神明社(中村区)、朝日神社(中区)、東茶屋の神明社(港区)、七島の神明社(港区)、南押切の神明社(西区)を入れた。
 個人的に一番好きなアマテラス関係の神社は、三重県度会郡大紀町の瀧原宮(web)だ。伊勢の神宮(web)よりも更に原初の神社の姿がそこにある。

 

豊受大神(トヨウケ) ーーー 『古事記』では豊宇気毘売神と表記される。『日本書紀』には登場しない。
 伊勢の神宮(web)の豊受大神宮(外宮)の祭神なので馴染み深い気がしているけど、実はマイナーな神だ。その正体もよく分からない。
『古事記』は伊邪那美命(イザナミ)の尿から生まれた和久産巣日神(ワクムスビ)の子としている。ニニギが降臨した後、外宮がある度相(わたらい)に鎮座したとする。
 トヨウケのウケは食物、穀物のことということで食物の神とされる。
 外宮による『止由気宮儀式帳』では雄略天皇の枕元にアマテラスが現れて、ひとりでは食事ができないので丹波国の比治の真奈井(ひじのまない)にいる等由気太神を近くに呼びたいと言ったため、外宮の地に祀ったとしている。
『丹後国風土記』逸文に、真奈井で天女8人が水浴していたところを老夫婦が見つけ、ひとりの羽衣を隠してしまったため天に帰れず、天女は老夫婦の家に暮らすことになり、やがて追い出されて奈具村に辿り着き、そこで祀られたのがトヨウケビメだったという逸話が書かれている。
 丹後国一宮の籠神社(web / 京都府宮津市)はもともと真名井原にあったことからトヨウケビメが祀られていたのは籠神社だったという説もある。現在は奥宮の真奈井神社でトヨウケビメを祀っている。
 全国の神明社でトヨウケを祀ることはよくあることだけど、単独の主祭神として祀っている神社は外宮以外では少ない。
 名古屋でトヨウケビメを祭神としているのは、守山区の神明社(廿軒家)、西区の神明社(南押切)、西区の榎白山社、中川区の下神明社(かの里)、中川区の三狐神社(野田)、中村区の中村天神社、名東区の神明社(藤森)、守山区の白山神社(小幡)、名東区の神明社(猪子石)など。

 

伊弉諾尊(イザナギ) ーーー 『古事記』では伊邪那岐神、伊邪那岐命、『日本書紀』では伊弉諾神と表記される。
 天地開びゃくの神代七代の最後に生まれた兄妹神の兄。国生みの後、オノコロジマでイザナミと結婚した。アマテラス、ツクヨミ、スサノオの父。
 火の神カグツチを産んだとき火傷を負って死んでしまったイザナミを追いかけて黄泉の国へ行き、変わり果てたイザナミの姿を見て逃げ出した。それを見て怒ったイザナミは八雷神や黄泉醜女(よもつしこめ)に追いかけさせた。なんとかそれを振り払ったイザナギは黄泉比良坂(よもつひらさか)を大岩でふさいでイザナミに離婚を宣言した。
 日向の阿波岐原で禊ぎを行うと、左目からアマテラス、右目からツクヨミ、鼻からスサノオが生まれた。
 このときのことが祓詞(はらえことば)となっている。
「掛けまくも畏き 伊邪那岐大神 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に御禊祓へ給ひし時に生り坐せる祓戸の大神等 諸諸の禍事 罪 穢有らむをば祓へ給ひ清め給へと白す事を 聞こし食せと恐み恐みも白す」
 母に会うため根之堅州国に行きたいと泣いてばかりいるスサノオを地上に追放し、自らは淡道の多賀の幽宮に篭った。
 伊弉諾神宮(兵庫県淡路市 / web)や多賀大社(滋賀県犬上郡 / web)の他、おのころ島神社(兵庫県南あわじ市 / web)、熊野速玉大社(和歌山県新宮市 / web)、江田神社(宮崎県宮崎市 / web)などで祀られる。
 名古屋では、守山区の熊野社(大永寺)、守山区の白山神社(市場)、西区の多賀宮(円頓寺)、天白区の島田神社、天白区の八劔社(野並)、中区の榊森白山社、中村区の八幡社(栄生町)、南区の石神社、南区の神明社(呼続)、中区の白山神社(新栄)、守山区の高牟神社(瀬古)、守山区の諏訪社(中志段味)、六所社などで祀られている。

 

伊弉冉尊(イザナミ) ーーー 『古事記』では伊邪那美命、『日本書紀』では伊弉冉神、伊邪那美神、伊耶那美神、伊弉弥神。
 イザナギ(伊弉諾尊)の妹で妻。神代七代の最後にイザナギとともに生まれたとされる。
 火の神カグツチを産んだとき女陰に火傷を負って命を落とした。黄泉の国まで追いかけてきたイザナミと争いになり、一日に1,000人の人間を殺す! とイザナミが言えば、それならこちらは一日に1,500人の子供を産ませる! とイザナギが言い返し、離婚。以降、イザナミは黄泉の神となり、黄泉津大神、道敷大神と呼ばれるようになった。
 イザナミの墓所とされる伝説地は、比婆山(島根と鳥取の境)や熊野市有馬などいくつかある。
 多賀大社など、イザナギとペアで祀られているところが多いものの、比婆山久米神社(島根県安来市 / web)や花窟神社(三重県熊野市 / web)などではイザナミを主祭神として祀っている。
 夫婦和合や縁結びの神としてイザナギ・イザナミを祀っている神社も多いのだけど、最後はケンカ別れしていることを考えると少し複雑な気持ちになる。
 名古屋では、緑区の熊野社(徳重)、守山区の熊野社(大永寺)、西区の白山社(上堀越)、西区の白山社(児玉)、西区の多賀宮(円頓寺)、天白区の菅田神社、天白区の島田神社、天白区の八劔社(野並)、南区の熊野三社(呼続)、中川区の白山社(戸田)、中村区の熊野社(権現通)、中区の白山神社(新栄)、守山区の白山神社(小幡)、守山区の川島神社、千種区の城山八幡宮、六所社などで祀られる。

 

須佐之男命(スサノオ) ーーー 『古事記』では建速須佐之男命、須佐乃袁尊と、『日本書紀』では素戔男尊、素戔嗚尊、素盞男尊などと表記される。
 死んだイザナミを追いかけて黄泉の国へ行ったイザナギは、変わり果てたイザナミを見て逃げだし、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊ぎをしたときに鼻をすすいで生まれたのがスサノオと『古事記』は書く。
『日本書紀』ではイザナギ(伊弉諾尊)とイザナミ(伊弉冉尊)との間にアマテラス(天照)、ツクヨミ(月読)、ヒルコ(蛯児)の次に生まれたとする。
 アマテラスは高天原を、ツクヨミは夜の世界を、スサノオは海原を治めるように命じられるも、母に会いたいと泣き叫ぶばかりで何もしなかったスサノオは追放されてしまう。
 根の国に向かう前に姉のアマテラスに会いにいくと、スサノオが攻めてきたと思ったアマテラスは武装して待ち構えていた。そこで疑いを晴らすために誓約(うけひ)を行い、神々が生まれた。
 これで許されたと調子に乗ったスサノオは高天原で暴れ回り、アマテラスは天岩戸に隠れ、世界は暗くなってしまった。スサノオは今度こそ本当に高天原を追放されてしまう。
 出雲の鳥髪山に降り立ったスサノオは櫛名田比売命と出会い、姫を救うためにヤマタノオロチを退治し、ふたりは結ばれる。
 そのとき歌ったとされる「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」は日本最古の和歌ともいわれる。
 その後、スサノオとクシナダヒメは出雲の根之堅洲国にある須賀へ行き、そこにとどまったという。
 本来は天津神でありながら高天原を追放されたことで国津神とされる。大国主(オオクニヌシ)はスサノオの息子、または子孫とされる。
 最初からスサノオを祀るとして創建された神社は意外に少ない。中世になって仏教の牛頭天王と習合して天王社で祀られていたものが、明治の神仏分離令で牛頭天王を祀ることが禁じられたためスサノオに祭神が変更された例が多い。
 名古屋でスサノオを祀るとしているのは、明治以降に祭神変更された元・天王社が多い。津島神社、須佐之男社、八坂神社、素盞男社と称している大部分の神社がそうではないかと思う。
 ただ、江戸時代の『尾張志』などでスサノオを祀るとしている天王社がけっこうあることからすると、江戸時代の人の認識として天王社の祭神はスサノオというのがあったようだ。
 もともとの祭神がスサノオだった可能性がある古い神社としては、中区の洲嵜神社が挙げられる。他にもあるかもしれないけど、ここがそうだと指摘できる根拠を持っていない。
『尾張國内神名帳』にある「従一位 素戔鳥名神」は名前からしてスサノオを祀る神社だった可能性が高い。ただし、この神社は失われたか所在不明となっている。
 オススメ神社60選の中でスサノオを祭神としているところは、中村区の白龍神社(名駅南)、南区の富部神社、中川区の八幡社(牛立)など。
 泣き虫でワガママで暴れん坊、マザコンでヒーローで戦も強く、和歌もたしなむスサノオという神はとても人間的で魅力に溢れているけど、周りは迷惑するタイプだ。

 

瓊瓊杵尊(ニニギ) ーーー 『古事記』では天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命、『日本書紀』では天津彦彦火瓊瓊杵尊/天饒石国饒石天津彦火瓊瓊杵尊と記される。
 天照大神(アマテラス)孫=天孫として高天原から日向に降りた(天孫降臨)と日本神話は語る。
 父は天忍穂耳尊(アメノオシホミミ)、母は栲幡千千姫命(タクハタチヂヒメ)。
 アマテラスより三種の神器を授けられ、天児屋命(アメノコヤネ)、布刀玉命(フトダマ)、天鈿女命(アメノウズメ)、石凝姥(イシコリドメ)、玉祖命(タマノオヤ)を供に、猿田毘古神(サルタヒコ)に導かれて高千穂の峰に到る。
 大山祇神(オオヤマツミ)娘・木花開耶姫/鹿葦津姫(コノハナサクヤヒメ)を娶り、火闌降命/火須勢理命(ホスセリ)、彦火火出見尊/天津日高日子穂穂手見命(ヒコホホデミ)、 火明命(ホアカリ)、火折尊/火遠理命(ホノオリ)火夜織尊(ホノヨリ)、火照命(ホデリ)が生まれたとする。
 美しいコノハナサクヤヒメに対して見た目に難があったらしい姉の磐長姫(イワナガヒメ)も一緒にもらってほしいというオオヤマツミの申し出を断って送り返してしまったため、天孫族は寿命が短くなってしまったとされる。
 名古屋では、南区の喚續社、中区の富士浅間神社、緑区の鳴海八幡宮、中区の稲荷神社(古渡稲荷神社)で祀られている。

 

ツクヨミ(月読命)

オオクニヌシ(大国主命)

アメノミナカヌシ(天御中主神)

タカミムスビ(高皇産霊尊)

カミムスビ(神皇産霊尊)

ムナカタサンニョシン(宗像三女神)

サルタヒコ(猿田彦大神)

アメノウズメ(天鈿女命)

アメノタヂカラノヲ(天手力男命)

フトダマ

アメノコヤネ

アメノカガセオ

タケミカヅチ

タケミナカタ

フツヌシ

スクナヒコナ

コトシロヌシ

コノハナサクヤヒメ

イワナガヒメ

カムヤマトイワレビコ

ホムタワケ

トヨウケ

ウカノミタマ

オオヤマツミ

ワタツミ

菅原道真

熱田大神

ウガヤフキアエズ

ウマシマジ

アメノホアカリ

タケウチノスクネ

ウケモチ

龍神

タカオカミ

ミツハノメ

ハニヤスヒメ

カグツチ

牛頭天王

カナヤマヒコ

ククリヒメ

住吉三神

ニギハヤヒ

ヒルコ

雷神

三十番神

石神

安倍晴明

安徳天皇

タケイナダネ

田道間守

徳川家康

豊臣秀吉

ヤマトタケル

伊奴姫神

大年神

稚産霊神

早玉男神

事解男神

乎止与命

宮酢姫命

田心姫命

湍津姫命

市杵島姫命

御嶽大神

玉依比売命

天之多奈波太姫命

辨財天

岐神

蔵王大権現

国狭槌尊

安閑天皇

伊斯許理度賣命

天香語山命

大苫辺命

高倉下命

祓戸大神

仁徳天皇

塩土老翁命

徳川義直

大直禰子命

仲哀天皇

神功皇后

火産神

八劔大神

根裂尊

志那都比古神

天目一筒神

平景清

鵜茅葺不合命

天道日女命

表筒男命

中筒男命

底筒男命

息長帯姫命

大宮能売命

岐之神

八衢彦神・八衢媛神

高倉下命

真敷刀俾命

徳川慶勝

大伴武日命

高峰大神

蛇毒気神

村上天皇

火上老婆霊

弟橘姫命

伊福利部連命

 



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