イシコリドメ《石凝姥命》
イシコリドメ《石凝姥命》 |
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『古事記』表記 | 伊斯許理度売命 |
『日本書紀』表記 | 石凝姥命、石凝戸邊命 |
別名 | |
祭神名 | 伊斯許理度賣命・他 |
系譜 | (父)天拔戸 |
属性 | 鏡作り、鋳物、金属加工、五伴緒 |
後裔 | 作鏡連 |
祀られている神社(全国) | 鞴神社(大阪市天王寺区)、中山神社(岡山県津山市)、鏡作坐天照御魂神社(奈良県磯城郡)、岩山神社(岡山県新見市) |
祀られている神社(名古屋) | 社宮司神社(芳野)(東区) |
最初に登場するのは天照大神(アマテラス)が天岩戸に隠れてしまったときで、記紀ともに鏡作りを担当した神で、作鏡連(かがみづくりのむらじ)らの祖神としている。 思金神(オモイカネ)が主導してどうするか相談し、天安河(あめのやすかわ)の上流の天の堅石と天の金山の鉄を材料にして鍛冶屋の天津麻羅(アマツマラ)と伊斯許理度売命(イシコリドメノミコト)に鏡を作らせたと『古事記』は書く。 『日本書紀』第七段一書(第一)では、石凝姥(イシコリドメ)が鍛冶士となり、天香山から金を採ってきて、日矛(ヒボコ)を作り、眞名の鹿の皮をはいでフイゴ(天羽韛)を作ったといっている。 鞴(ふいご)というのは、火を高温にするために風を送り込む道具で、それを使って作った鏡が紀伊の国の日前神(ヒノクマ)とも書いている。 第七段一書(第三)には、鏡作の遠い祖先の天拔戸(アマノヌカト)の子供の石凝戸邊(イシコリトベ)が作った八咫鏡(やたのかがみ)というふうに書かれている。イシコリトベがイシコリドメのことかどうかは定かではない。イシコリドメの名前の解釈としては、石の鋳型を使って鏡を作ることに通じた女性を意味するというのが一般的だ。 次に登場するのは邇邇芸命(ニニギ)が天降るときにお供として付けられた5柱の神のうちの1柱としてだ。 『古事記』と『日本書紀』第九段一書(第一)は共通していて、アメノコヤネ(天児屋命/天兒屋命)、フトダマ(布刀玉命/太玉命)、アメノウズメ(天宇受売命/天鈿女命)、イリコリドメ(伊斯許理度売命/石凝姥命)、タマノオヤ/タマノヤ(玉祖命/玉屋命)の五伴緒/五部(イツノトモノオ)がニニギとともに天降ったとする。 鋳物や金属加工の神とされ、大阪府大阪市の生國魂神社境内社の鞴神社、岡山県津山市の美作国一宮で式内名神大の中山神社、奈良県磯城郡の鏡作坐天照御魂神社(式内名神大)、岡山県新見市の岩山神社などで祀られている。 また、紀伊国一宮で式内名神大の日前神宮(日前神宮・國懸神宮/web)は『日本書紀』にある日前神のこととされ、石凝姥命(イシコリドメ)が鋳造したという日像鏡(ひがたのかがみ)を御神体としている(國懸神宮の御神体が日矛鏡)。相殿で思兼命と石凝姥命を祀っている。 名古屋では東区の社宮司神社(芳野)が伊斯許理度賣命を祀るとしている。 |