『古事記』、『日本書紀』には出てこず、『古語拾遺』に登場する。そこでは、太玉命(フトダマ)の子で、天照大神(アマテラス)が天岩戸から出て新殿に移ったとき侍女として仕え、善言美詞を用いて君臣の間を和らげるような働きをしたと書かれている。
『延喜式』の大殿祭(おおとのほがい)の祝詞に、皇居に鎮座して親王や諸臣たちが過ちを犯すことなく心安らかに仕えられるよう見守る神として出てくる。
これらのことから、宮殿の人格化、もしくは女官の神格化ともされる。
神祇官で祀られた天皇守護の八神のうちの一柱で、現在の皇居にある宮中三殿のひとつ神殿でも祀られている。
八神殿の神は以下の通り。
第一殿 神産日神/神皇産霊神(カミムスビ)
第二殿 高御産日神/高皇産霊神(タカミムスビ)
第三殿 玉積産日神/魂留産霊(タマツメムスビ)
第四殿 生産日神/魂留産霊(イクムスビ)
第五殿 足産日神/足産霊(タルムスビ)
第六殿 大宮売神(オオミヤノメ)
第七殿 御食津神/御膳神(ミケツ)
第八殿 事代主神(コトシロヌシ)
皇祖神とされる天照大神は『日本書紀』によれば第10代崇神天皇の時代に宮中から出されて伊勢の神宮(web)で祀られるようになったとされていて、八神殿では祀られなかった。
現在は宮中三殿のひとつ、賢所(かしこどころ)で祀られている。
また別の側面として、平安京の市場の守護神とされたことから商売繁盛の神ともされた。
伏見稲荷大社(web)の上社(南座)で祀られているのは、そういった関係からと思われる。主祭神の宇迦之御魂大神(ウカノミタマ)に仕える巫女を神格化したものともされる。
伊勢の神宮の内宮で祀られている宮比神(ミヤビ)や、天鈿女命(アメノウズメ)と同一視する説もある。
式内社とされる神社の中でオオミヤノメを主祭神としているのは、京都府京丹後市の大宮売神社(名神大社)で、かつて神祇官があったところに近い場所に鎮座する京都府京都市の大宮姫命稲荷神社で祀られている大宮姫命はオオミヤノメのこととされる。
その他、各地の稲荷社で祭神に名を連ねている。
名古屋では、守山区の生玉稲荷神社、斎穂社、熱田区の櫻田神社に祀られる。
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